ビジョンオブジェクトの基本事項

ビジョンオブジェクトの詳細を説明する前に、ビジョンオブジェクトのレイアウトとビジョンオブジェクトを操作するときの位置決め サイズ設定方法について、基本的事項を簡単に説明します。
新規ビジョンオブジェクトが作成されて画像イメージ表示部に表示されると、特定のビジュアル特性が付与されますので、ぜひ覚えておいてください。
例えば、Correlationオブジェクトは、サーチウィンドウ, モデルウィンドウ, モデル原点とともに表示されます。これらは、マウスをドラッグすることによって、簡単に表示位置を変更することができます。
以下に、基本的なビジョンオブジェクトとその操作方法について説明します。

ビジョンオブジェクトのレイアウト例

サーチウィンドウ

ほとんどのビジョンオブジェクトには、次図に示すようなサーチウィンドウがあります。サーチウィンドウは、上図の外側のボックスです。アクティブ(現在作業しているビジョンオブジェクト)のときは、マゼンタ色(明るい紫色)になり、インアクティブ(シーケンスにあるけれども今のところ作業はしていない、別のビジョンオブジェクト)のときは、青色になります。実行時には、オブジェクトが検出されたかどうかによって、緑色あるいは赤色に変わります。
サーチウィンドウは、対象領域(あるいはパーツあるいはパターンを検索する領域)を定義するのに使います。
サーチウィンドウの移動は、ビジョンオブジェクト名(またはサーチウィンドウ)をクリックし、画像イメージ表示部の希望の位置にドラッグすることによって簡単に実行できます。(図中の “Corr01”がビジョンオブジェクトの名称です。)

サーチウィンドウのサイズは、ビジョンオブジェクトをコンフィギュレーションするときに重要なポイントとなります。サーチウィンドウを大きくすると、検索に要する時間が長くなります。サーチウィンドウは、なるべく小さく、しかも、パーツの様々に変わる位置を取りあつかうことができる程度に充分な大きさのサイズに設定します。

キーポイント


SearchWinTypeプロパティーを “RotatedRectangle” や “Circle”に設定することで、サーチウィンドウに角度を持たせたり、円形のサーチエリアを設定したりすることも可能です。

「6.2.15 Frameオブジェクト」を使用すると、サーチウィンドウのサイズを小さくするのに便利な場合があります。

サーチウィンドウの位置決め
サーチウィンドウの位置決めは、ビジョンオブジェクト名をクリックし、移動したい位置にビジョンオブジェクトをドラッグして行います。
ビジョンオブジェクトを移動するときは、左上コーナーが適切な位置にくるように注意してください。

サーチウィンドウのサイズ調整
サイズは、サーチウィンドウサイズハンドルを使って調整します。サーチウィンドウサイズハンドルは、ビジョンオブジェクトの初期作成時、またはビジョンオブジェクトをクリックして選択したとき表示されます。
サーチウィンドウサイズハンドルは、サーチウィンドウの辺とコーナーに表示される小さなボックスであり、簡単に動かしてサーチウィンドウのサイズを調整することができます。
サーチウィンドウサイズハンドルの上でマウスポインターを動かすと、マウスポインターは両方向矢印に変わります。このときマウスをクリックすると、そのハンドルが選択されます。
どのサーチウィンドウサイズハンドルもクリックすることができますので、辺やコーナーをドラッグして、サーチウィンドウのサイズを調整してください。
サーチウィンドウの両側の辺にあるサーチウィンドウサイズハンドルをクリックすると、オブジェクトを水平方向にサイズ調整することができます。
サーチウィンドウの上下にあるサーチウィンドウサイズハンドルをクリックすると、オブジェクトを垂直方向にサイズ調整することができます。
サーチウィンドウのコーナーにあるサーチウィンドウサイズハンドルをクリックすると、サーチウィンドウの水平、垂直の両方向のサイズ調整を一度に行うことができます。

サイズ調整後のサーチウィンドウ

サーチウィンドウの形は、SearchWinTypeプロパティーで設定できます。“Rectangle”、“RotatedRectangle”、“Circle”の他に、“Arc”, “Polygon”が設定できます。“Arc”, “Polygon”は、サイズハンドルで調整できるプロパティーや、使用できるプロパティーが、他の3タイプとは異なります。“Arc”に設定することで、円弧型のサーチエリアを設定することが可能です。

サーチウィンドウの位置決め
サーチウィンドウの位置決めは、ビジョンオブジェクト名をクリックし、移動したい位置にビジョンオブジェクトをドラッグして行います。
ビジョンオブジェクトを移動するときは、中心点が適切な位置にくるように注意してください。

サーチウィンドウのサイズ調整
サイズは、サーチウィンドウサイズハンドルを使って調整します。“Arc”型のサーチウィンドウでは、サーチウィンドウサイズハンドルは、サーチウィンドウ円弧の円外径と円内径の中心、円弧の開始点と終了点に表示される小さなボックスであり、簡単に動かしてサーチウィンドウのサイズを調整することができます。
サーチウィンドウサイズハンドルの上でマウスポインターを動かすと、マウスポインターは両方向矢印に変わります。このときマウスをクリックすると、そのハンドルが選択されます。
円弧の開始点と終了点にあるサーチウィンドウサイズハンドルをクリックすると、サーチウィンドウの円弧の長さをサイズ調整することができます。
円外径と円内径の中心にあるサーチウィンドウサイズハンドルをクリックすると、サーチウィンドウの厚さをサイズ調整することができます。

キーポイント


“Arc”型のサーチウィンドウは、“Rectangle”, “RotatedRectangle”, “Circle”型のサーチウィンドウの形状で使用できた、SearchWinLeftプロパティー、SearchWinTopプロパティー、SearchWinHeightプロパティー、SearchWinWidthプロパティーが、使用できなくなります。代わりにSearchWinAngleStartプロパティー、SearchWinAngleEndプロパティー、SearchWinRadiusInnerプロパティー、SearchWinRadiusOuterプロパティーが使用できるようになります。SearchWinCenterXプロパティー、SearchWinCenterYプロパティーも使用できるので、合わせて6つのプロパティーを調整することで、円弧の位置、サイズを表現できます。

SearchWinTypeを“Polygon”に設定することで12角形型のサーチエリアを設定できます。他の4タイプと比べ多くのプロパティーを持ちますが、自由度の高い形状を表現できます。

サーチウィンドウの位置決め
サーチウィンドウの位置決めは、ビジョンオブジェクト名をクリックし、移動したい位置にビジョンオブジェクトをドラッグして行います。
ビジョンオブジェクトを移動するときは、中心点が適切な位置にくるように注意してください。

サーチウィンドウのサイズ調整
サイズは、サーチウィンドウサイズハンドルを使って調整します。“Polygon”型のサーチウィンドウでは、サーチウィンドウサイズハンドルは、12角形の各頂点に表示される小さなボックスであり、簡単に動かしてサーチウィンドウのサイズ、形状を調整することができます。
サーチウィンドウサイズハンドルの上でマウスポインターを動かすと、マウスポインターは両方向矢印に変わります。このときマウスをクリックすると、そのハンドルが選択されます。
“Rectangle”や、“RotatedRectangle” 型のサーチウィンドウでは、サイズハンドルはサーチウィンドウの幅、高さ、もしくはその両方を調整するためのハンドルです。よって選択したハンドルを移動させると、操作に応じて他のサイズハンドルも一緒に移動します。しかし、“Polygon” 型のサーチウィンドウでは、選択したハンドルのみが移動し、他のハンドルは移動しません。これにより自由度の高いサーチエリアの形状を調整できます。

キーポイント


“Polygon”型のサーチウィンドウは、“Rectangle”, “RotatedRectangle”, “Circle”型のサーチウィンドウの形状で使用できた、SearchWinLeftプロパティー, SearchWinTopプロパティーが使用できなくなります。代わりに各頂点の座標を表現するSearchWinPolygonPointX1プロパティー, SearchWinPolygonPointY1プロパティー ~ SearchWinPolygonPointX12プロパティー, SearchWinPolygonPointY12プロパティーが使用できるようになります。SearchWinAngleプロパティー, SearchWinCenterXプロパティー, SearchWinCenterYプロパティー, SearchWinHeightプロパティー, SearchWinWidthプロパティーも使用できるので、合わせて29のプロパティーを調整することで、サーチエリアの位置、サイズ、形状を表現できます。

注意


ビジョンシーケンスの実行結果は、外らん光や外部機器ノイズにより影響を受けることがあります。外らん光や外部機器ノイズにより、影響を受けると、取り込み画像が想定外の結果となり、検出位置結果がサーチエリア (検出エリア)内の不特定位置になる可能性があります。サーチエリアは、極力小さく、また誤検出に配慮した画像処理シーケンスの作成を行ってください。

モデルウィンドウ

Correlationオブジェクト, Geometricオブジェクト, Polarオブジェクトには、モデルウィンドウとサーチウィンドウがあります。この解説ではCorrelationオブジェクトのモデルウィンドウを使います。
Correlationオブジェクトには、図に示すようなモデルウィンドウが備わっています。モデルウィンドウは、図に示すように、内側のボックスでマゼンタ色をしています。 (オブジェクトを検出したときに緑色に変わる実行時はのぞきます。) モデルウィンドウは、モデルの境界を定義するのに使います。(モデルとは、対象物の理想的表現であり、一般的には検索対象のことです。)

モデルウィンドウ
モデルウィンドウの位置決め
新規モデルを教示するには、モデルのサイズと位置の設定が非常に重要なので、モデルウィンドウの位置を設定してサイズ調整をする方法を正確に理解する必要があります。
モデルウィンドウを移動させるときは、モデルウィンドウを構成する4本の辺の1本をクリックしてドラッグします。まず、左上コーナーが適切な位置にくるよう移動させ、次に、モデルウィンドウサイズハンドルを使ってサイズを調整するようにしてください。
サーチウィンドウと同様、モデルウィンドウのサイズは、ビジョンオブジェクトをコンフィギュレーションするとき重要なポイントになります。モデルウィンドウを大きくすると、検索に要する時間が長くなります。モデルウィンドウは、なるべく小さくしながら、しかも、検索するパーツやパターンを見分けられる程度に充分な大きさのサイズに設定することをお勧めします。同時に、サーチウィンドウも同じように小さくしてください。
ヒント
ModelWinTypeプロパティーを “RotatedRectangle” や “Circle”に設定することで、モデルウィンドウに角度を持たせたり、円形のモデルウィンドウを設定することも可能です。

モデルウィンドウのサイズ調整
モデルウィンドウサイズハンドルは、モデルウィンドウを選択したときに表示されます。
ただし、サーチウィンドウが選択されていると、モデルウィンドウサイズハンドルは表示されません。モデルウィンドウにハンドルが表示されないときは、サーチウィンドウがアクティブウィンドウになっている場合がありますので、モデルウィンドウの辺をクリックしてモデルウィンドウに切り換えてください。モデルウィンドウサイズハンドルが表示されます。
モデルウィンドウサイズハンドルは、モデルウィンドウの辺とコーナーに表示される小さなボックスであり、簡単に動かしてモデルウィンドウのサイズを調整することができます。モデルウィンドウサイズハンドルの上でマウスポインターを動かすと、マウスポインターは両方向矢印に変わります。このときマウスをクリックすると、そのハンドルが選択されます。
どのモデルウィンドウサイズハンドルもクリックすることができますので、辺やコーナーをドラッグして、モデルウィンドウのサイズを調整してください。
モデルウィンドウの両側の辺にあるモデルウィンドウサイズハンドルをクリックすると、オブジェクトを水平方向にサイズ調整することができます。
モデルウィンドウの上下にあるモデルウィンドウサイズハンドルをクリックすると、オブジェクトを垂直方向にサイズ調整することができます。
モデルウィンドウのコーナーにあるモデルウィンドウサイズハンドルをクリックすると、モデルウィンドウの水平、垂直の両方向のサイズ調整を一度に行うことができます。

モデル原点

すべてのモデルにはモデル原点があります。モデル原点とは、画像イメージ中のモデルの位置を示す固定基準点です。
モデル原点の座標位置は、モデルウィンドウの左上の位置を基準点としますので注意してください。
モデルウィンドウの左上の位置は、[0,0]から始まります。

モデル原点の位置決め
モデル原点の位置は、自動的に、あるいは手動で設定することができます。
モデル原点の位置を自動的に設定するには、対象となるオブジェクトのModelOrgAutoCenterプロパティーを “True”に設定してください。この場合、モデル原点の位置はモデルウィンドウの中央に自動的に設定されます。

キーポイント


  • ModelOrgAutoCenterプロパティーのデフォルト設定は、“True”になっています。
    モデル原点を手動で移動するには、ModelOrgAutoCenterプロパティーを “False”に設定してください。特定のオブジェクトのオブジェクトウィンドウから、プロパティーリスト内で設定することができます。プロパティーリスト内で設定する場合、設定値としてサブピクセルで設定することができます。

  • サブピクセルでモデル原点を設定した場合でも、画面に表示されるモデル原点はピクセル単位で表示されます。
    モデル原点を移動するには、対象となるオブジェクトのモデルウィンドウがアクティブになっていなければなりません。サーチウィンドウがアクティブになっている場合は、モデル原点の移動ができませんので、モデルウィンドウの枠をクリックし、モデルウィンドウにモデルウィンドウサイズハンドルを表示させてください。
    ModelOrgAutoCenterプロパティーが “False”に設定されていると、モデル原点はマウスで移動することができます。モデル原点を移動するには、モデル原点の十字線をクリックして、移動したい位置へドラッグしてください。

  • モデル原点をマウスで移動した場合、設定されるモデル原点はピクセル単位となります。サブピクセルで設定する場合は、プロパティーリスト内で設定してください。
    モデル原点は、作業対象となるモデル上の有意性のある位置に設定すると便利です。例えば、ロボットがパーツをつかみ、ピックアップする位置に、モデル原点の位置を設定します。