MCordr

MCalによる原点復帰時の、関節動作順序の指定と表示を行います。インクリメンタルエンコーダー搭載のロボットのみ、必要です。

書式
(1) MCordr 設定値1, 設定値2, 設定値3, 設定値4[, 設定値5][, 設定値6][, 設定値7][, 設定値8][, 設定値9]

(2) MCordr

パラメーター

設定値1
MCalプロセスの第1ステップで原点復帰する関節 (0~9)を、ビットパターン (2進数の値)で指定します。 (下記ビットパターン表を参照してください。)
設定値2
MCalプロセスの第2ステップで原点復帰する関節 (0~9)を、ビットパターン (2進数の値)で指定します。 (下記ビットパターン表を参照してください。)
設定値3
MCalプロセスの第3ステップで原点復帰する関節 (0~9)を、ビットパターン (2進数の値)で指定します。 (下記ビットパターン表を参照してください。)
設定値4
MCalプロセスの第4ステップで原点復帰する関節 (0~9)を、ビットパターン (2進数の値)で指定します。 (下記ビットパターン表を参照してください。)
設定値5
MCalプロセスの第5ステップで原点復帰する関節 (0~9)を、ビットパターン (2進数の値)で指定します。 (下記ビットパターン表を参照してください。)
設定値6
MCalプロセスの第6ステップで原点復帰する関節 (0~9)を、ビットパターン (2進数の値)で指定します。 (下記ビットパターン表を参照してください。)
設定値7
MCalプロセスの第7ステップで原点復帰する関節 (0~9)を、ビットパターン (2進数の値)で指定します。 (下記ビットパターン表を参照してください。)
設定値8
MCalプロセスの第8ステップで原点復帰する関節 (0~9)を、ビットパターン (2進数の値)で指定します。 (下記ビットパターン表を参照してください。)
設定値9
MCalプロセスの第9ステップで原点復帰する関節 (0~9)を、ビットパターン (2進数の値)で指定します。 (下記ビットパターン表を参照してください。)

戻り値
パラメーターを省略すると現在のメカ原点復帰順序を表示します。

解説
電源オン時、アームを動作させる前には、必ずMCal命令を実行してください。MCal命令が実行されると各関節は、それぞれの原点復帰位置に移動します。

MCalコマンド実行時の関節の動作順序を指定します。設定値1で指定された関節が動作し、原点復帰を終了したら、次に設定値2で指定された関節が動作、というように順次、設定値3の関節、設定値4の関節と原点復帰します。

MCordr命令の意義は、原点復帰時の各関節の復帰順序を、ユーザーが変更できるようにすることです。復帰順序は、9つのステップに分かれて設定されています。ユーザーはMCordrにより各ステップで復帰する関節を指定することができます。各ステップで復帰する関節は、複数を指定することも可能です。しかし、一般的には、第3関節を最初にステップ1で移動させ、他の関節をそれ以降のステップで復帰させることをお勧めします。 (注意を参照してください。)

MCordr命令では、9つのステップに対しビットパターンが指定されなければなりません。各関節に対し、ビットパターンが定められています。あるステップでビットが"1"であれば、対応する関節が原点復帰します。ビットが"0"であれば、対応する関節は、そのステップにおいては原点復帰しません。各関節に対するビットパターンは次のように割りあてられています。

ビットパターン表

関節名 ビット番号 2進数表記
第1関節 bit 0 &B000001
第2関節 bit 1 &B000010
第3関節 bit 2 &B000100
第4関節 bit 3 &B001000
第5関節 bit 4 &B010000
第6関節 bit 5 &B100000
第7関節 bit 6 &B1000000
第8関節 bit 7 &B10000000
第9関節 bit 8 &B100000000

注意


  • MCordrとHordrの違い

    HordrとMCordrコマンドは重要な点が異なります。MCordrは、MCalとともに用いられ、ロボットの原点復帰時の関節復帰順序を指定しますが、Hordrは、Homeとともに用いられ、ホーム位置への関節復帰順序を指定します。

  • 原点復帰位置への復帰順序のデフォルト設定

    工場出荷時の設定は、次のようになっています。

  • 第1ステップで第3関節 (Z)が復帰します。

  • 第2ステップで、第1関節 (X), 第2関節 (Y), 第4関節 (U)が同時に原点復帰位置に復帰します。

  • 第3および第4ステップは使われていません。デフォルト値は次のとおりです。

    MCordr &B0100, &B1011, 0, 0
    
  • 通常第3関節 (Z)を先に原点復帰させます

    最初に単独で第3関節 (Z)を復帰させる理由は、水平移動が行われる前にツールをワーク表面から移動させることにあります。これは、原点復帰の際に、ツールが動作エリア内のものに干渉することを防ぐためです。

  • MCordr値は保持されます

    MCordr値は、ユーザーが変更を行うか、ロボットが再設定されない限り、保持されます。


参照
MCal

MCordr使用例
下記はモニターウィンドウからの4軸ロボットの操作例です。

この例では、原点復帰順序を2進数で次のように設定します

第1ステップで第3関節、第2ステップで第1関節、第3ステップで第2関節、第4ステップで第4関節が原点復帰します。

> MCordr  &B0100, &B0001, &B0010, &B1000

この例では、原点復帰順序を10進数で次のように設定します

第1ステップで第3関節、第2ステップで第1関節, 第2関節, 第4関節が同時に原点復帰します。

> MCordr  4, 11, 0, 0

次の例では、現在の原点復帰順序を10進数で表示しています。

>mcordr
4, 11, 0, 0
>