INERTIA設定

慣性モーメント (イナーシャ)とINERTIA設定
慣性モーメントとは、物体の回りにくさを表す量で、慣性モーメント, イナーシャ, GD2などの値で表されます。アーム6にハンドなどを取りつけて動作させる場合は、負荷の慣性モーメントを考慮しなければなりません。

注意


  • 負荷 (ハンド+ワーク)の慣性モーメントは、必ず0.2 kg·m2以下にしてください。

    C12マニピュレーターは、0.2 kg·m2を超える慣性モーメントに対応するように設計されていません。また、必ず慣性モーメントに応じた値を設定してください。慣性モーメント (イナーシャ)パラメーターに実際の慣性モーメントより小さな値を設定すると、エラーの発生や衝撃の原因となり、十分な機能が発揮できないばかりか、各機構部品の寿命を短くする可能性があります。

C12マニピュレーターの許容する負荷の慣性モーメントは、定格0.03 kg·m2, 最大0.2 kg·m2です。負荷の慣性モーメントに応じて、INERTIA命令の負荷の慣性モーメント (イナーシャ)パラメーターの設定変更を行います。設定変更を行うと、アーム6の最大の加減速度が「慣性モーメント」に応じて自動的に補正されます。

アーム6に取りつけた負荷の慣性モーメント
アーム6に取りつけた負荷 (ハンド+ワーク)の慣性モーメントは、Inertia命令の「慣性モーメント (イナーシャ)」パラメーターで設定します。


[ツール]-[ロボットマネージャー]-[ハンド偏心設定]パネル-[慣性モーメント]に設定します。また、[コマンドウィンドウ]で、Inertia命令による設定も可能です。

偏心量とINERTIA設定

注意


  • 負荷 (ハンド+ワーク)の偏心量は必ず300 mm以下にしてください。C12シリーズマニピュレーターは、300 mmを超える偏心量に対応するように設計されていません。また、必ず偏心量に応じた値を設定してください。偏心量パラメーターに実際の偏心量より小さな値を設定すると、エラーの発生や衝撃の原因となり、十分な機能が発揮できないばかりか、各機構部品の寿命を短くする可能性があります。

C12マニピュレーターの許容する負荷の偏心量は、定格が50 mm、最大で300 mmです。負荷の偏心量が定格を超える場合は、Inertia命令の偏心量パラメーターの設定変更を行います。設定変更を行うと、「偏心量」に応じたマニピュレーターの最大の加減速度が自動的に補正されます。

偏心量

記号 説明
a 回転軸
b フランジ面
c 負荷重心位置
d, e

偏心量 (300 mm以下)

パラメーター設定時はd, eのうち大きいほうの値を入力

アーム6に取りつけた負荷の偏心量
アーム6に取りつけた負荷 (ハンド+ワーク)の偏心量は、Inertia命令の「偏心量」パラメーターで設定します。

なお[偏心量]には、上図 d, e のうち大きいほうの値を設定します。


[ツール]-[ロボットマネージャー]-[ハンド偏心設定]パネル-[偏心量]に設定します。また、[コマンドウィンドウ]で、Inertia命令による設定も可能です。

INERTIA (偏心量)設定時の加減速度の自動補正
慣性モーメント設定による自動補正

* グラフ上のパーセンテージは、定格 (0.03 kg·m2)設定時の加減速度を100%とした場合の比です。

偏心量設定による自動補正

* グラフ上のパーセンテージは、定格 (50 mm)設定時の加減速度を100%とした場合の比です。

慣性モーメントの計算方法
負荷 (ワークを持ったハンド)の慣性モーメントの計算例を示します。

負荷全体の慣性モーメントは、(A)~(C)の合計で求められます。

記号 説明
a 回転軸
b シャフト
A ハンド
B ワーク
C ワーク

(A), (B), (C)の各慣性モーメントの計算方法は次のとおりです。これらの基本的な形状の慣性モーメントを参考に、負荷全体の慣性モーメントを求めてください。

(A) 直方体の慣性モーメント

記号 説明
a 回転軸
b 直方体の重心
m 質量

(B) 円柱の慣性モーメント

記号 説明
a 円柱の重心
b 回転軸
m 質量

(C) 球の慣性モーメント

記号 説明
a 回転軸
b 球の重心
m 質量