力覚センサーの精度確認
概要
力覚センサーが、正常に動作していることを確認する方法を説明します。
力覚センサーは、使用中にぶつけたり、定格以上の負荷をかけたりしたとき、故障して精度に異常が発生する場合があります。
精度の異常は、力覚センサーを使用する前に取得したデータ(初期データ)と、精度に異常が見られた後で取得したデータ(比較用データ)を比較することで、判断できます。
力覚センサーの使用中に異常を感じた場合は、次項の手順にしたがって力覚センサーの精度を確認してください。
また、この手順で確認する場合は、力覚センサーを使用する前に初期データを必ず取得してください。
力覚センサー単体の精度保証は、±5%です。精度確認で保証値を超える場合は、力覚センサーの交換をお勧めします。ただし、アプリケーションによっては、保証値を超えても使用可能な場合があります。用途に応じて力覚センサーの交換を行ってください。
初期データの取得
初期データを取得する手順を説明します。
初期データは、次ページのサンプルプログラムによって取得できます。 力覚センサーの精度を確認する場合に使用します。取得したデータは、必ず保存してください。
注意
初期位置、およびマニピュレーターの動作は、お客様の使用環境に合わせて変更し、ロボット, ハンド, ケーブル, 周辺装置などが、それぞれ干渉しないことを十分確認してください。
Function ForceSensorLogSCARA ' スカラ型ロボットのサンプルプログラム
FSet FM1.Label, "ForceLog" 'ファイル名に使用されるラベルを指定します
Tool 0 ' ツール0を指定
FSet FM1.CoordinateSystem, FCS0 ' フォース座標系にツール座標系を指定
FSet FM1.ForceSensor, 1 ' 力覚センサー番号を指定
FSet FM1.LPF_Enabled, False, False, False, False, False, False, False, False ' ローパスフィルター無効
MP 0 ' 重力補償の停止
Motor On ' モーターオン
Go AglToPls(0, 0, 0, 0) ' 初期位置へ移動
FSet FS1.Reset ' 力覚センサーリセット
FSet FM1.RecordStart, 60, 0.1 ' 力覚センサー値ログ開始
' -----------------動作部分------------------
Motor On ' モーターオン
' Power High ' ハイパワーモード
' Accel 50, 50 ' 加速度設定
' Speed 50 ' 速度設定
Wait 2
Go AglToPls(0, 90, 0, 0)
Wait 2
Go AglToPls(0, 90, 0, -90)
Wait 2
Go AglToPls(0, 0, 0, -90)
Wait 2
Go AglToPls(0, 0, -50, -90)
Wait 2
Go AglToPls(0, 0, 0, -90)
Wait 2
Go AglToPls(0, 0, 0, 0)
Wait 2
' ------------------------------------------
FSet FM1.RecordEnd ' 力覚センサー値ログ終了
Fend
解説
- ラベルを指定します。指定したラベルに、実行した日時が付与されたものがファイル名となります。
ファイルの保存場所と名前は、お客様の任意の場所と名前を指定してください。 - ツール0を指定し、フォース座標系にツール座標系を指定します。
お客様の設定したツールを使用できます。また、FCS0はデフォルトで定義されているツール座標系と一致するフォース座標系ですが、お客様の設定したフォース座標オブジェクトを使用できます。 - センサー番号を指定します。
初期データを取得する力覚センサーの番号を指定してください。 - ローパスフィルターを無効にし、重力補償を停止します。
- モーターをオンし、初期位置に移動します。
サンプルプログラムでは、ロボットの原点位置に移動しています。お客様の指定する位置に移動することも可能です。 - 力覚センサーをリセットします。
- 力覚センサー値の記録を開始します。60秒間、0.1秒間隔で力覚センサー値を記録します。
- ロボットを動作させ、力覚センサーの姿勢を変化させます。
スカラ型ロボット用のサンプルプログラムでは、ロボット原点位置から第2, 第3, 第4関節を動作させ力覚センサーに慣性力を加えています。慣性力を記録するために、6軸型ロボット用のサンプルプログラムに対して、センサー値の記録間隔が短くなっています。ロボットの動作はお客様の任意の動作をさせることも可能です。ただし、初期姿勢からセンサーの各方向の出力に1[N]以上の力が加わるような動作としてください。また、サンプルプログラムでは速度や加速度の設定部分がコメントアウトされています。動作が問題ないことを確認した後で、命令を有効にしてください。 - 力覚センサー値の記録を停止します。
キーポイント
取得する力覚センサー値は、以下の影響を受けます。
- ベース座標設定(Base)
- ローカル座標系設定(Local)
- ツール設定(Tool, TLSet)
- フランジオフセット設定(F_FlangeOffset)
- フォース座標オブジェクト(FCS#)
各設定値を保存し、比較用データの取得時に再現できるようにしてください。
キーポイント
力覚センサー値は、ロボットの傾きなどの物理的な設置条件や、センサーフランジやハンドなどの形状と重さの影響を受けます。そのため、使用環境に変化があったときは必ず初期データを再度、取得してください。
比較用データの取得と初期データとの比較
力覚センサーの精度に異常が見られたときは、比較用データを取得し、初期データと比較します。
比較用データは、初期データの取得と同じ手順と条件で取得してください。条件には、物理的な設置環境, 各設定値, データ取得時の動作を含むことに注意してください。
条件が一致した状態で取得した比較用データと初期データを比較し、力覚センサーの出力に大きな違いがある場合は、力覚センサーを使う作業ができなくなります。
力覚センサーは、使用中にぶつけたり、定格以上の負荷をかけたりしたとき、故障して精度に異常が発生する場合があります。力覚センサーは仕様範囲内で使用してください。仕様に関する詳細は、次の項を参照してください。
ハードウェア編 仕様