メカストッパーによる動作エリアの設定
メカストッパーにより、機械的にこれ以上は動けない、絶対的な動作エリアを設定します。
第1関節と第2関節は、設定エリアの角度に対応する位置にねじ穴があります。メカストッパー (可変)の位置により、動作エリアを設定します。設定したい角度に対応するねじ穴にボルトを取りつけます。
第3関節は、任意 (最大ストローク以内)に設定が可能です。
架台取付仕様
記号 | 説明 |
---|---|
a | 第3関節メカストッパー(下限メカストッパー) |
b | 第3関節メカストッパー(上限メカストッパー) *上限メカストッパーは位置を動かさないでください。 |
c | 第2関節メカストッパー(可変) |
d | 第1関節メカストッパー(可変) |
e | 第1関節メカストッパー(固定) |
f | 第2関節メカストッパー(固定) |
マルチレイアウト取付仕様
マルチレイアウト取付仕様は、架台取付仕様と異なるストッパー位置のみ案内しています。
記号 | 説明 |
---|---|
a | 第1関節メカストッパー(可変) |
b | 第1関節メカストッパー(固定) |
第1関節と第2関節のメカストッパーによる設定
第1関節と第2関節は、設定エリアの角度に対応する位置にねじ穴があります。メカストッパー (可変)の位置により、動作エリアを設定します。
次の手順で、設定したい角度に対応するねじ穴にボルトを取りつけます。
コントローラーの電源をオフします。
設定角度に対応するねじ穴に、六角穴付ボルトを取りつけます。
関節 六角穴付ボルト 本数 推奨締付トルク 強度 1, 2 M8×10 総ねじ 各1本 片側 18.0 N・m (194 kgf・cm) ISO898-1 property class 10.9または12.9相当 コントローラーの電源をオンします。
変更したメカストッパー位置に対応するパルスレンジを設定します。
キーポイント
パルスレンジは必ずメカストッパーの位置より内側に設定してください。
例: GX4-A**1S*で、第1関節を-110° ~ +110°、第2関節を-120° ~ +120°に設定する場合
[コマンドウィンドウ]で次の命令を実行します。>JRANGE 1,-582542,5825423 '第1関節のパルスレンジを設定 >JRANGE 2,-2184533,2184533 '第2関節のパルスレンジを設定 >RANGE 'Range命令で設定値を確認 -582542, 5825423,-2184533,2184533,-1706667 ,0, -1310720, 1310720
アームを手で動かし、メカストッパーにあたるまでに周辺装置にぶつかるなどの支障がないことを確認します。
設定変更した関節を、パルスレンジの最小値、および最大値の位置まで低速で動作させ、アームがメカストッパーにぶつ からないことを確認します。
(設定したストッパー位置と動作レンジを確認します。)
例: GX4-A**1S*で、第1関節を-110° ~ +110°、第2関節を-120° ~ +120°に設定する場合
[コマンドウィンドウ]で次の命令を実行します。>MOTOR ON 'モーターをオンの状態にする >POWER LOW 'ローパワーモードにする >SPEED 5 '低速に設定 >PULSE -582542,0,0,0 '第1関節の最小パルス位置に動作 >PULSE 5825423,0,0,0 '第1関節の最大パルス位置に動作 >PULSE 2621440,-2184533,0,0 '第2関節の最小パルス位置に動作 >PULSE 2621440,2184533,0,0 '第2関節の最大パルス位置に動作
Pulse命令 (Go Pulse命令)は、全関節を同時に設定した位置へ動作させます。パルスレンジを変更した関節だけでなく、他の関節の動作も考慮して、動いても安全な場所を設定します。
この例では、第2関節の確認をするときに、第1関節の設定を動作エリアの中心に近い0°の位置 (パルス値“2621440”)にして動作させています。
もし、アームがメカストッパーにぶつかっている場合、またはぶつかってエラーが発生した場合は、支障のない程度にパルスレンジを狭く再設定するか、メカストッパーの位置を広げます。
第1関節メカストッパー
アーム1を下面より見たイラストです。
取付仕様 | アーム長(mm) | アーム形状 | メカストッパー位置 | |||
---|---|---|---|---|---|---|
a | b | c | ||||
最大動作範囲 (deg.) | 架台 | 250 | ストレート | ±140 | -110 | +110 |
300 | ストレート | |||||
350 | ストレート | |||||
左カービング | -165 ~ 110 | -150 | +95 | |||
右カービング | -110 ~ 165 | -95 | +150 | |||
マルチレイアウト | 300 | ストレート | ±115 | -102.6 | +102.6 | |
350 | ストレート | ±120 | -103.5 | +103.5 | ||
最大パルスレンジ(pulse) | 架台 | 250 | ストレート | -1456356 ~ 6699236 | -582542 | 5825423 |
300 | ストレート | |||||
350 | ストレート | |||||
左カービング | -2184534 ~ 5825423 | -1747627 | 5388516 | |||
右カービング | -582543 ~ 7427414 | -145636 | 6990507 | |||
マルチレイアウト | 300 | ストレート | -728178 ~ 5971058 | -367002 | 5609882 | |
350 | ストレート | -873814 ~ 6116694 | -393216 | 5636096 |
第2関節メカストッパー
取付仕様 | アーム長(mm) | アーム形状 | 環境仕様 | メカストッパー位置 | |||
---|---|---|---|---|---|---|---|
a | b | c | |||||
最大動作範囲 (deg.) | 架台 | 250 | ストレート | S, E | ±141 | -111 | +111 |
C | ±137 | -107 | +107 | ||||
300 | ストレート | S, E | ±142 | -112 | +112 | ||
C | ±141 | -111 | +111 | ||||
350 | ストレート | S, E, C | ±142 | -112 | +112 | ||
左カービング | S, E | -165 ~ 120 | -135 | +90 | |||
C | -160 ~ 120 | -130 | +90 | ||||
右カービング | S, E | -120 ~ 165 | -90 | +135 | |||
C | -120 ~ 160 | -90 | +130 | ||||
マルチレイアウト | 300 | ストレート | S, E, C | ±135 | -105 | +105 | |
350 | ストレート | S, C | ±142 | -112 | +112 | ||
最大パルスレンジ (pulse) | 架台 | 250 | ストレート | S, E | -2566827 ~ 2566827 | -2020693 | +2020693 |
C | -2494009 ~ 2494009 | -1947876 | +1947876 | ||||
300 | ストレート | S, E | -2585032 ~ 2585032 | -2038898 | +2038898 | ||
C | -2566827 ~ 2566827 | -2020693 | +2020693 | ||||
350 | ストレート | S, E, C | -2585032 ~ 2585032 | -2038898 | +2038898 | ||
左カービング | S, E | -3003734 ~ 2184534 | -2457600 | +1638400 | |||
C | -2912712 ~ 2184534 | -2366578 | +1638400 | ||||
右カービング | S, E | -2184534 ~ 3003734 | -1638400 | +2457600 | |||
C | -2184534 ~ 2912712 | -1638400 | +2366578 | ||||
マルチレイアウト | 300 | ストレート | S, E, C | -2457600 ~ 2457600 | -1911467 | +1911467 | |
350 | ストレート | S, E, C | -2585032 ~ 2585032 | -2038898 | +2038898 |
キーポイント
マルチレイアウト取付は、メカストッパー設定範囲内にて壁に衝突する可能性があるため、完全に動作エリアを制限できません。
第3関節のメカストッパーによる設定
キーポイント
この方法は、標準仕様 (GX4-***1S*), ESD仕様(GX4-***1E*)のマニピュレーターにのみ適用できます。
クリーン&ESD仕様 (GX4-***1C*)のマニピュレーターは、第3関節メカストッパーによる動作エリアの設定を変更することができません。
コントローラーの電源をオンし、モーターをオフ (Motor OFF命令による)の状態にします。
ブレーキ解除スイッチを押しながら、シャフトを押し上げます。
シャフトを上限まで押し上げると、アーム上カバーが取りはずしにくくなります。押し上げる量は、第3関節メカストッパーの位置を変更できる程度にしてください。
記号 説明 a ブレーキ解除スイッチ b 下限メカストッパー取付ねじ M3×10 c シャフト キーポイント
ブレーキ解除スイッチを押すと、ハンドなどの自重によりシャフトが下降することがあります。シャフトを手で支えながらスイッチを押してください。
コントローラーの電源をオフします。
下限メカストッパーねじ (M3×10)をゆるめます。
キーポイント
第3関節はメカストッパーが上下にありますが、位置変更できるのは上側にある下限メカストッパーだけです。下側にある上限メカストッパーは第3関節の原点位置を定めていますので、動かさないでください。
シャフトの上端が最大ストロークの位置です。制限したいストロークの分だけ下限メカストッパーを下げてください。
たとえば、“150 mm”ストロークの場合、下限Z座標値は “-150”ですが、これを“-130”にしたいときは、下限メカストッパーを“20 mm”下げます。ノギスなどで距離を測りながら下げてください。
記号 説明 a 測定長さ 下限メカストッパーねじ (M3×10)を、シャフトの溝にかからないように注意して、しっかり締めます。
推奨締付トルク: 2.4N·m (25 kgf·cm)コントローラーの電源をオンします。
ブレーキ解除スイッチを押しながら第3関節を押し下げ、下端の位置を確認します。メカストッパーを下げすぎると目的位置に届かなくなりますので注意してください。
パルスレンジの下限パルス値を、次の計算式によって計算し、設定します。
なお、下限Z座標値は負の値 (マイナス)です。計算結果は必ず負の値になります。
GX4-A/GX4-B/GX4-C**1S*(Z:-150 mm): 下限パルス値 = (下限Z座標値)/16×131072×(50/36)例: 150 mmストロークで、メカストッパーを50 mm下げ、下限Z座標値を“-100”に変更する場合
(-100)/16131072×(50/36) = -1137778
[コマンドウィンドウ]で次の命令を実行します。>JRANGE 3,-1137778 ,0 '第3関節のパルスレンジを設定
Pulse命令(Go Pulse命令)を使って、第3関節を設定したパルスレンジの下限の位置まで低速で動作させます。
このとき、パルスレンジよりメカストッパー位置が狭いと、第3関節がメカストッパーにぶつかってエラーが発生します。エラーが発生した場合は、支障のない程度にパルスレンジを狭く再設定するか、メカストッパーの位置を広げてやり直します。例: 150 mmストロークで、メカストッパーを50 mm下げ、下限Z座標値を“-100”に変更する場合
[コマンドウィンドウ]で次の命令を実行します。手順(9)で計算した値を-1137778に入力します。>MOTOR ON 'モーターをオンの状態にする >SPEED 5 '低速に設定 >PULSE 0,0,-1137778,0 '第3関節の下限パルス位置に動作
(この例では、第3関節以外のパルス値を“0”にしていますが、第3関節を下げても支障のない位置のパルス値を代入してください。)