ECP動作のプロセス
ECP動作のプロセスについて垂直6軸型ロボットを用いた例を説明します。
1. 外部制御点の設定
外部制御点とは、ロボット周辺に固定されているツール先端の加工点などの位置姿勢を定義する座標系データです。
外部制御点は、ロボット座標系、または任意のローカル座標系を基準に定義します。
例えば、ロボット座標系からみた外部制御点の位置が、X=0, Y=900, Z=230であることが、図面などからわかっている場合は、以下のように外部制御点を設定します。
ECPSet 1,XY(0,900,230,0,0,0) 'ECPの1番を定義
また、外部制御点の位置情報が不明なときは、ロボットを使ったティーチングによって設定することも可能です。
例えば、ツールデータが正確にわかっているツールをロボットに取りつけ、そのツール先端を外部制御点に近づけ、任意のポイントデータ (ここではP0とします。) にティーチングして座標データを取得し、以下のように外部制御点を設定します。
ECPSet 1,P0 :U(0) :V(0) :W(0) 'ECPの1番を定義
以上の例では、姿勢データU, V, Wを0としました。この場合は、外部制御点座標系の姿勢は基準にしたロボット座標系の姿勢と一致します。
外部制御点座標系のU, V, Wを指定することもできますが、これが実際に有効になるのは、Curve命令の姿勢補正モード、およびECPジョグ動作だけです。
2. ティーチング
ロボットで実際の作業対象となるワークを把持し、ポイントデータをティーチングします。ここでは、ワークとして直方体の物体を想定し、その1辺を「1. 外部制御点の設定」で設定した外部制御点で、ワークを回転させながらなぞる動作を行います。
ティーチングの方法は、以下を参照してください。
[ツール] - [ロボットマネージャー] - [ジョグ&ティーチ]パネル
2-1 動作開始ポイントのティーチング
ロボットを動作開始ポイントへ移動させてティーチングします。ここではP1とします。
P1 = XY(75.000, 750.000, 280.000, 90.000, 0.000, 180.000) /R /A /NF /J6F0 /J4F0 /J1F0 /0
2-2 動作完了ポイントのティーチング
ロボットを動作完了ポイントへ移動させてティーチングします。ここではP2とします。
P2 = XY(150.000, 825.000, 280.000, 0.000, 0.000, 180.000) /R /A /NF /J6F0 /J4F0 /J1F0 /0
キーポイント
動作開始ポイントに対して、Uを-90°回転させることにより、ワークも-90°回転させています。
キーポイント
ティーチング時のジョグ動作は、Jointジョグ動作, Worldジョグ動作, Toolジョグ動作に加え、あらたにECPジョグ動作が使用できます。
ECPジョグ動作は、選択されているECP座標系を基準に動作します。
3. 動作の実行
動作命令にECPパラメーターを付加することで、ECP動作を実行します。
ECP 1 ' ECPを選択
Go P1 ' 動作開始ポイントに移動
Move P2 ECP ' ECPモーション実行
固定ツールを用いて、ワークに対して円弧を描きたい場合は、Arc3を使用します。3次スプライン曲線を描きたい場合は、CurveおよびCVMoveを使用します。
キーポイント
下図のようにワークを直線的に動かすと、途中でロボットの動作範囲を超えてしまうため、エラーが発生します。本節の例で示したように、ワークを回転させることによって、動作範囲内でECP動作を実行できます。