Weight設定とInertia設定
WEIGHT設定とINERTIA (慣性モーメント, 偏心量)設定は、マニピュレーターの負荷条件の設定です。この設定により、マニピュレーターの動作が最適化されます。
WEIGHT設定
負荷の質量の設定をWEIGHT設定といいます。負荷質量が大きくなるほど全体の速度と加減速が抑えられます。
INERTIA設定
負荷の慣性モーメントと偏心量の設定をINERTIA設定といいます。負荷慣性モーメントが大きくなるほどアーム6の加減速を抑えます。また偏心量が大きくなるほど全体の加減速が抑えられます。
マニピュレーターの持つ性能を十分に発揮させるためには、負荷 (ハンド質量+ワーク質量)、および負荷の慣性モーメントを定格以内にし、アーム6中心から偏心させないでください。しかし、負荷や慣性モーメントが定格を超えたり、偏心がやむをえない場合は、以下の説明にしたがって値を設定してください。
これによりマニピュレーターの動作を最適化し、振動を抑えて作業時間を短縮したり、大きな負荷への対応能力を高めます。また、ハンドとワークの慣性モーメントが大きい場合に発生する持続振動を抑制する効果もあります。
また、“負荷, イナーシャ, 偏心/オフセット測定ユーティリティ”による設定も可能です。
詳細は、以下のマニュアルに記載しています。
"Epson RC+ ユーザーズガイド - 負荷, イナーシャ, 偏心/オフセット測定ユーティリティ"
VT6-Bシリーズマニピュレーターの可搬質量は、最大6 kgです。
下表のとおりモーメント、および慣性モーメントに限界があるため、負荷 (ハンド質量+ワーク質量)がこれらの条件を満たす必要があります。
負荷許容量
| 関節名称 | 許容モーメント | (GD2/4) 許容慣性モーメント |
|---|---|---|
| 第4関節 | 12.0 N·m (1.22 kgf·m) | 0.3 kg·m2 |
| 第5関節 | 12.0 N·m (1.22 kgf·m) | 0.3 kg·m2 |
| 第6関節 | 7.0 N·m (0.71 kgf·m) | 0.1 kg·m2 |
モーメント
モーメントは、負荷 (ハンド+ワーク)に働く重力を支えるために必要な関節にかかるトルクの大きさを表します。負荷の質量や偏心量が大きいほどモーメントは大きくなり、関節への負荷が増えるため、許容量を守ってください。
慣性モーメント
慣性モーメントは、マニピュレーターの関節が回転するときの負荷 (ハンド+ワーク)の回転しにくさ (=慣性の大きさ)を表します。負荷の質量や偏心量が大きいほど慣性モーメントは大きくなり、関節への負荷が増えるため、許容量を守ってください。
負荷 (ハンド+ワーク)の体積が小さい場合、モーメントM (N·m)、および慣性モーメントI (kgm2)は、以下の計算式によって求められます。
M (N·m) = m(kg) × L (m) × g (m/s2)
I (kgm2) = m(kg) × L2 (m2)
m : 負荷質量 (kg)
L : 負荷偏心量 (m)
g : 重力加速度 (m/s2)
下図は、負荷 (ハンド+ワーク)の体積が小さい場合の負荷重心位置の最大値の分布を示しています。下図を参考に、負荷の重心位置が許容値以内になるようにハンドの設計をしてください。負荷の体積が大きい場合は、以下を参考に計算してください。
| 記号 | 説明 |
|---|---|
| a | アーム6 回転中心からの負担重心位置[mm] |
| b | アーム5 回転中心からの負荷中心位置[mm] |
最大負荷偏心量 (関節回転中心から負荷の限界重心位置までの距離)
| 関節 | 1 kg | 2 kg | 3 kg | 4 kg | 5 kg | 6 kg |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 第4 | 548 mm | 387 mm | 316 mm | 274 mm | 245 mm | 204 mm |
| 第5 | 548 mm | 387 mm | 316 mm | 274 mm | 245 mm | 204 mm |
| 第6 | 300 mm | 224 mm | 183 mm | 158 mm | 141 mm | 119 mm |
負荷許容量から負荷の限界重心位置を計算する場合、アーム5のフランジ面からではなく、アーム5回転中心からの距離が算出されます。フランジ面から負荷重心までの距離を算出する場合は、アーム5回転中心からフランジ面までの距離 (= 81.5 mm)を差し引いてください。
例) 負荷6kgの場合の負荷限界重心位置aの算出
- 許容モーメント制限による重心位置: 12.0 N·m/(6 kg×9.8 m/s2) = 0.204 m = 204 mm
- 許容慣性モーメント制約による重心位置: (0.3 kgm2/6 kg)1/2 = 0.223 m = 223 mm
- 許容モーメントに制限されるため、負荷限界重心位置はアーム5回転中心から204 mmとなる。
- フランジ面からの負荷限界重心位置までの距離 a = 204 mm‐81.5 mm = 122.5 mm
負荷限界取付寸法
[単位: mm]