その他の設定
Weight設定
ハンドの質量(Weight)を設定します。取りつけたハンド(ツールアダプターなどを含む)とワークの合計質量を正しく設定してください。設定する方法は2通りあります。
設定方法 1: 設定画面から設定する
詳細は、以下のマニュアルを参照してください。
"Epson RC+ 8.0 ユーザーズガイド - [ロボットマネージャー] (ツールメニュー) - [ツール]-[ロボットマネージャー]-[ハンド質量設定]パネル"
[距離]は、通常は変更の必要ありません。
設定方法2: SPEL+コマンドから設定する
詳細は、以下のマニュアルを参照してください。
"SPEL+ ランゲージリファレンス - Weightコマンド, Weight関数"
設定例
次の条件のときに、上記の設定方法1, 2の方法でWeight値を設定する手順を説明します。
構成部品 | 質量[kg] |
---|---|
ハンド本体 | 1.0 |
ツールアダプター | 0.2 |
ワーク | 0.5 |
配線, 配管など | (無視できる) |
合計 | 1.7 |
設定方法1: [ハンド質量設定]パネルで、[負荷(W)]に “1.7”を入力し、[Kg(K)]ボタンを選択する。
設定方法2: コマンドウィンドウから、次のコマンドを入力して実行する。
> Weight 1.7
注意
- ハンド+ワークの質量は、最大可搬質量以下としてください。最大可搬質量については、お使いの各マニピュレーターのマニュアルを参照してください。またWeight設定では、必ず負荷に応じた値を設定してください。実際の質量より小さな値を設定すると、エラーの発生や衝撃の原因となり、十分な機能が発揮できないばかりか、各機構部品の寿命を短くする可能性があります。
- 1度設定したWeightの設定時は、電源をオフしても保持されます。
キーポイント
Weightコマンドは、SPEL+プログラム内に記述して実行することもできます。ただし、Weight設定値はコントローラー内のメディア(コンパクトフラッシュ/SDカード)に保存されるため、プログラム内(特にループ内)で頻繁に実行すると、メディアの寿命に影響します。本コマンド実行を必要最小限にとどめることを推奨します。
Inertia設定と偏心量設定
慣性モーメント(イナーシャ)とInertia設定
慣性モーメントとは、物体の回りにくさを表す量で、慣性モーメント、イナーシャ、GD2などの値で表されます。シャフトやフランジにハンドなどを取りつけて動作させる場合は、ハンド(ツールアダプターなどを含む)とワークの合計の慣性モーメントが、マニピュレーターの最大許容値を超えないようにしてください。設定する方法は2通りあります。次に説明する偏心量と合わせて設定してください。
設定方法1:設定画面から設定する。
詳細は、以下のマニュアルを参照してください。
"Epson RC+ 8.0 ユーザーズガイド - [ロボットマネージャー] (ツールメニュー) - [ツール]-[ロボットマネージャー]-[ハンド偏心設定]パネル"
設定方法2:SPEL+コマンドから設定する。
> Intertia 0.01
詳細は、次のマニュアルを参照してください。
"SPEL+ ランゲージリファレンス - Inertiaコマンド, Inertia関数"
注意
負荷(ハンド+ワーク)の慣性モーメントは、必ず各マニピュレーターの許容慣性モーメント以下にしてください。各マニピュレーターは、許容慣性モーメント以上の慣性モーメントに対応するように設計されていません。また、必ず慣性モーメントに応じた値を設定してください。慣性モーメント(イナーシャ)パラメーターに実際の慣性モーメントより小さな値を設定すると、エラーの発生や衝撃の原因となり、十分な機能が発揮できないばかりか、各機構部品の寿命を短くする可能性があります。
キーポイント
Inertiaコマンドは、SPEL+プログラム内に記述して実行することもできます。ただし、Intertia設定値はコントローラー内のメディア(コンパクトフラッシュ/SDカード)に保存されるため、プログラム内(特にループ内)で頻繁に実行すると、メディアの寿命に影響します。本コマンド実行を必要最小限にとどめることを推奨します。
慣性モーメントの計算方法
負荷(ツールアダプターなどを含むハンドとワークの合計)の慣性モーメントの計算例を示します。
負荷全体の慣性モーメントは、個々の部分(A)~(C)の合計で求められます。
記号 | 項目 |
---|---|
a | 回転軸 |
b | シャフト |
A | ハンド |
B | ワーク |
C | ワーク |
(A), (B), (C)の各慣性モーメントの計算方法は次のとおりです。これらの基本的な形状の慣性モーメントを参考に、負荷全体の慣性モーメントを求めてください。
(A) 直方体の慣性モーメント
記号 | 項目 |
---|---|
a | 回転軸 |
b | 直方体の重心 |
m | 質量 |
(B) 円柱の慣性モーメント
記号 | 項目 |
---|---|
a | 円柱の重心 |
b | 回転軸 |
m | 質量 |
(C) 球の慣性モーメント
記号 | 項目 |
---|---|
a | 回転軸 |
b | 球の重心 |
m | 質量 |
偏心量の計算方法
負荷(ツールアダプターなどを含むハンドとワークの合計)の偏心量として、次の値を設定します。
記号 | 項目 |
---|---|
a | 回転軸 |
b | 取りつけ面 |
c | 負荷重心位置 |
d |
|
e |
Tool設定
取りつけたハンドに対して、次のようにTool座標系を設定すると、ジョグ操作を行う場合に、思ったようにロボットを動かすことができます。特にハンドがワークや周辺の障害物に接近しているときは、それらに衝突するリスクを低減することができます。
Tool座標系のうちTool 0座標系は、シャフトの先端(スカラロボット)およびフランジ面の中心(6軸ロボット)にあらかじめ設定されており、変更することはできません。Tool 1からTool 15の15個のTool座標系は、お客様が設定することができます。
例1: スカラロボットで、吸着ハンドの吸着パッド面をTool 1座標系に設定する
取りつけたハンドの吸着パッド面中心が、シャフト下端の軸心から次のようにオフセットしている場合:
x軸方向: 20mm
z軸方向: -100mm
Tool 1座標系を、次のように設定します。
Tool 1: Tool 0からのオフセット量
x | y | z | u | v | w |
---|---|---|---|---|---|
20 | 0 | -100 | 0 | 0 | 0 |
"Epson RC+ 8.0 ユーザーズガイド - [ロボットマネージャー] (ツールメニュー) - [ツール]-[ロボットマネージャー]-[ツール設定]パネル"
指定したツール座標系でジョグ動作を行うには:
- [ジョグ&ティーチ]画面を開きます。
- [モード]をToolに設定します。
- [Tool:]に上記で設定したツール座標系(この場合は1)を選択します。
- ジョグボタンをクリックします。
ロボットはTool 1座標系で指定された座標軸に基づいて動作します。
例2: 6軸ロボットでチャックハンドの指先(把持点)をTool 2座標系に設定する
取りつけたハンドの把持点が、フランジ面の中心から次のようにオフセットし、
- y軸方向: 50mm
- z軸方向: 120mm
さらにz軸周りに-90度回転して取りつけられている場合:
Tool 2座標系を次のように設定します。
Tool 2: Tool 0からのオフセット量
x | y | z | u | v | w |
---|---|---|---|---|---|
0 | 50 | 120 | -90 | 0 | 0 |
例1と同じように、[ジョグ&ティーチ]画面で設定したツール座標系を選択すると、その座標軸に基づいてハンドが動作します。
キーポイント
例では、説明のため、x軸、y軸方向にオフセットを設けてありますが、可能な限り、ハンド全体の重心がシャフトの軸心(スカラロボット)、またはフランジ面中心(J6軸)と一致するようにハンドを取りつけることを推奨します。オフセットが生じる場合は、以下を参照し、偏心量の設定を正しく行ってください。
"Inertia設定と偏心量設定"
Tool 0座標系は、シャフトの先端(スカラロボット)、またはフランジ面中心(6軸ロボット)に設定されています。変更することはできません。
ハンドやツールアダプターのCADデータをお持ちの場合は、Epson RC+のシミュレーター機能で、シミュレーター画面上にハンドやTool座標系を表示させることができます。
詳細は、以下のマニュアルを参照してください。
"Epson RC+ 8.0 ユーザーズガイド - シミュレーター"