高さ検査オブジェクト

高さ検査オブジェクトは指定方向に動作させて、指定の力で接触した位置を検出するフォースガイドオブジェクトです。
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上図は、高さ検査オブジェクトの動作のイメージです。非接触状態から、白い矢印で示す方向に移動し、接触した位置で停止して、位置の検査をします。

高さ検査オブジェクトは、指定時間内に終了条件を満たしたとき成功、または失敗となります。高さ検査オブジェクトは、力と位置に関する終了条件が使用できます。

各終了条件は必ず使用されます。
各終了条件の成功条件を全てが満たされた場合: 高さ検査オブジェクトの実行を終了し成功したと判定して、次のフォースガイドオブジェクトへ進みます。
各終了条件の失敗条件を1つでも満たされた場合: 高さ検査オブジェクトの実行を終了し失敗したと判定して、フォースガイドシーケンスの実行を中断します。

終了条件
成功条件
力に関する終了条件 Timeoutの指定時間内に、ContactOrientで指定した軸方向にContactForceThreshで指定した力に達すること
位置に関する終了条件 Timeoutの指定時間内に、以下を満たすこと

検査方法に距離で検査する (ツール)を指定した場合:

ContactOrientで指定した軸方向の、フォースガイドオブジェクト開始位置からの移動距離が、DistExpected ± DistExpectedTolの範囲に入ること

検査方法に位置で検査する (ベース, ローカル)を指定した場合:

指定された座標系のContactOrientで指定した軸方向の、ワークが接触したときの位置が、PosExpected ± PosExpectedTolの範囲に入ること

終了条件
失敗条件
位置に関する終了条件 Timeoutの指定時間内に、以下を満たすこと

検査方法に距離で検査する(ツール)を指定した場合:

ContactOrientで指定した軸方向の、フォースガイドオブジェクト開始位置からの移動距離がDistExpected +DistCheckTolを超えること

検査方法に位置で検査する(ベース, ローカル)を指定して、動作方向に正方向を指定した場合:

指定された座標系のContactOrientで指定した軸方向 の、ワークが接触したときの位置がPosExpected + PosExpectedTolを超えること

検査方法に位置で検査する (ベース, ローカル)を指定して、動作方向に負方向を指定した場合:

指定された座標系のContactOrientで指定した軸方向 の、ワークが接触したときの位置がPosExpected - PosExpectedTolを超えること

高さ検査オブジェクトのプロパティーガイドライン

Step 1. 基本情報を設定する
基本情報に関するプロパティー(Name, Description, StepID, AbortSeqOnFail) を設定します。

プロパティー
説明, 設定指針
Name

フォースガイドオブジェクトの名前を設定します。

固有の名前を設定します。

Description

フォースガイドオブジェクトの説明を設定します。

動作の説明などを記述できます。任意の文字列を設定します。

StepID

フォースガイドオブジェクト実行中のStepIDです。

任意のIDを設定します。

StepIDとは、ログデータに記録されるIDです。ログデータが、どの工程に対応するかを、理解しやすくするためのものです。

フォースガイドシーケンスのAutoStepIDがFalseの場合に適用されます。

AbortSeqOnFail フォースガイドオブジェクトが失敗したときにフォースガイドシーケンスを終了するか継続するかを設定します。

True : 通常の場合

フォースガイドシーケンスを終了します。

False : フォースガイドシーケンス中に失敗したときのリカバリー動作を含んでいる場合や、失敗してもフォースガイドシーケンスを継続可能な場合

Step 2. 接触方向と力制御機能を設定する
接触方向と力制御機能に関するプロパティー (ContactOrient, ContactFirmnessF)を設定します。

プロパティー
説明, 設定指針
ContactOrient

接触する方向を指定します。

ロボットは、指定方向へ移動します。

ContactFirmnessF 力制御機能の硬さを設定します。

大きい値を設定した場合:

硬くなり、反応が遅くなります。

小さい値を設定した場合:

柔らかくなり、反応が早くなりますが、振動的になる場合があります。

ContactOrientは、シミュレーター機能によって設定状態を確認できます。指定方向以外がグレイアウト表示された座標系が表示されます。
ただし、ロボットは、現在位置を基に表示されます。フォースガイドオブジェクトを実行する位置姿勢にした状態で確認してください。
シミュレーター機能による表示方法は、次のマニュアルを参照してください。
"Epson RC+ 8.0 ユーザーズガイド - シミュレーター - 機能説明"

Step 3. 終了条件について設定する
終了条件に関するプロパティー (ContactForceThresh, Timeoutプロパティー)を設定します。

プロパティー
説明, 設定指針
ContactForceThresh

接触したと判定する閾値を設定します。

お客様のワークが許容する値を設定してください。

大きい絶対値を設定した場合:

接触までの移動速度が速くなります。

値が小さすぎる場合:

ロボットが移動しないことがあります。

Timeout

高さ検査オブジェクトのタイムアウト時間を設定します。

接触するまでに指定時間が経過した場合、失敗となります。

Step 4. 成功条件について設定する
成功条件に関するプロパティー (DistExpected, DistExpectedTol, PosExpected, PosExpectedTol)を設定します。

プロパティー
説明, 設定指針
DistExpected

動作開始位置から接触する予定の位置までの基準距離を設定します。

高さ検査シーケンスのForceOrientで設定した座標系の、高さ検査オブジェクトContactOrientで設定した方向の移動距離となります。

検査基準距離は、下図の上側の赤色の点で示す動作開始位置と、下側の赤色の点で示す接触位置までの1の距離です。

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高さ検査シーケンスのInspectMethodをDistInspectに設定した場合、成功条件として有効になります。

できるだけ検査基準距離が短くなるように、動作開始位置を教示してください。力制御機能は位置制御と比べて速度が遅いため、検査基準距離が長いほどサイクルタイムが遅くなります。

DistExpectedTol

動作開始位置から接触する予定の位置までの基準距離の許容誤差を設定します。

下図は、DistExpectedTolのイメージです。

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高さ検査シーケンスのInspectMethodを “DistInspect”に設定した場合、成功条件として有効になります。

PosExpected

接触する予定の位置を設定します。

高さ検査シーケンスのForceOrientで設定した座標系の、高さ検査オブジェクトContactOrientで設定した方向の位置となります。

検査基準位置は、ContactOrientに設定した座標系での、下図の接触位置です。

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高さ検査シーケンスのInspectMethodを “PosInspect”に設定した場合、成功条件として有効になります。

PosExpectedTol

接触する予定の位置の許容誤差を設定します。

下図は、PosExpectedTolのイメージです。

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高さ検査シーケンスのInspectMethodをPosInspectに設定した場合、成功条件として有効になります。

高さ検査オブジェクトのプロパティー詳細

  • Nameプロパティー
    フォースガイドオブジェクトに割りあてる固有の名前を設定します。
    高さ検査シーケンスを作成すると、自動的に名前が割りあてられます。自動的に割りあてられる名前は、HeightInspect01のように、HeightInspectの後ろに数字が組み合わせられます。
    名前は、変更できます。最大16文字まで指定できます。半角英数字と“_”(アンダースコア)が使用できます。先頭の文字を数字にすることはできません。
  • Descriptionプロパティー
    フォースガイドオブジェクトの説明を設定します。任意の文字列を255文字まで指定できます。
  • StepIDプロパティー
    フォースガイドオブジェクト実行中のStepIDを指定します。
    AutoStepIDがFalseの場合のみ使用されます。
    最小値 0
    最大値 32767
    デフォルト: フォースガイドシーケンスとフォースガイドオブジェトの番号から自動設定されます。
  • AbortSeqOnFailプロパティー
    フォースガイドオブジェクト失敗時の処理を指定します。
    Trueを指定した場合、フォースガイドオブジェクトが失敗したとき、フォースガイドシーケンスを終了し、次のSPELステートメントへ進みます。
    Falseを指定した場合、フォースガイドオブジェクトが失敗しても、フォースガイドシーケンスを終了せず、次のフォースガイドオブジェクトへ進みます。
    失敗した場合のリカバリー処理をフォースガイドシーケンス内に含める場合などフォースガイドシーケンスを継続したい場合に使用します。
    説明
    True フォースガイドオブジェクト失敗時、シーケンスを終了します。
    False フォースガイドオブジェクト失敗時、次のフォースガイドシーケンスを開始します。
    デフォルト: True
  • ContactOrientプロパティー
    フォースガイドシーケンスのForceOrientで指定した座標系における、高さ検査の動作方向を指定します。ロボットは、指定方向に動作して、物体に接触したとき、停止します。
    説明
    +Fx 指定座標系の+Fx方向に動作方向を指定します。
    -Fx 指定座標系の-Fx方向に動作方向を指定します。
    +Fy 指定座標系の+Fy方向に動作方向を指定します。
    -Fy 指定座標系の-Fy方向に動作方向を指定します。
    +Fz 指定座標系の+Fz方向に動作方向を指定します。
    -Fz 指定座標系の-Fz方向に動作方向を指定します。
    デフォルト: +Fz
  • ContactFirmnessFプロパティー
    フォースガイドオブジェクト動作中の、フォースガイドオブジェクトのContactOrientで指定した動作方向の力制御機能に関する硬さを指定します。
    ContactFirmnessFの値が大きい場合: 動作方向の力制御機能が硬くなり、力の変化への応答が遅くなりますが、発振しにくくなります。
    ContactFirmnessFの値が小さい場合: 動作方向の力制御機能が柔らかくなり、力の変化への応答が早くなりますが、発振しやすくなります。
    最小値 0.1
    最大値 10
    デフォルト: 1.5
  • ContactForceThreshプロパティー
    接触と判定する力の閾値を指定します。
    高さ検査オブジェクト実行中に、本プロパティーで指定された値を超えたとき、ロボットは接触したことを認識して動作を停止し、次のフォースガイドオブジェクトへ進みます。
    • ContactOrientが正方向の場合

      値 (単位: [N])
      最小値 -10
      最大値 -0.1

      デフォルト: -2

    • ContactOrientが負方向の場合

      値 (単位: [N])
      最小値 0.1
      最大値 10

      デフォルト: 2

  • DistExpectedプロパティー
    高さ検査開始位置から接触する予定の位置までの距離を指定します。フォースガイドシーケンスのInspectMethodプロパティーにDistInspectを指定した場合に使用します。
    値 (単位: [mm])
    最小値 0
    最大値 50
    デフォルト: 10
  • DistExpectedTolプロパティー
    作業が終了したときに、動作開始位置から移動した距離の成功条件となる範囲を指定します。
    DistExpected ± DistExpectedTolの範囲を成功条件とします。
    最小値 0.01
    最大値 10
    デフォルト: 1
  • PosExpectedプロパティー
    接触する予定の位置を指定します。フォースガイドシーケンスのInspectMethodプロパティーにPosInspectを指定した場合に使用します。
    値 (単位: [mm])
    最小値 -2000
    最大値 2000
    デフォルト: 100
  • PosExpectedTolプロパティー
    作業が終了したときの、接触した位置の成功条件となる範囲を指定します。
    PosExpected ± PosExpectedTolの範囲を成功条件とします。
    最小値 0.01
    最大値 10
    デフォルト: 1
  • Timeoutプロパティー
    フォースガイドオブジェクトのタイムアウト時間を指定します。
    Timeoutで指定した時間を超えても、ContactForceThreshで指定した条件を満たさなかった場合、高さ検査オブジェクトに失敗したと判定します。
    判定後、AbortSeqOnFailにしたがって、フォースガイドシーケンスを終了するか、次のフォースガイドオブジェクトへ進みます。
    値 (単位: [sec])
    最小値 0.1
    最大値 60
    デフォルト: 10

高さ検査オブジェクトのリザルト詳細

  • EndStatusリザルト
    実行した結果です。
    以下の冒頭に記載されている「成功条件」を満たした場合、成功となります。
    高さ検査オブジェクト
    説明
    Passed フォースガイドオブジェクトが成功した。
    Failed フォースガイドオブジェクトが失敗した。
    NoExec フォースガイドオブジェクトが実行されなかった。
    Aborted フォースガイドオブジェクトの実行中に停止した。
  • Timeリザルト
    実行にかかった時間です。
    単位: [sec]
  • TimedOutリザルト
    Timeoutプロパティーで指定したタイムアウト時間に到達したかどうかを示します。
    説明
    True タイムアウト時間に到達した。
    False タイムアウト時間に到達する前に終了した。
  • EndForcesリザルト
    フォースガイドオブジェクト終了時の力やトルクです。Fx, Fy, Fz, Tx, Ty, Tzそれぞれの値を取得します。
    単位: Fx, Fy, Fz [N] / Tx, Ty, Tz [N・mm]
  • EndPosリザルト
    フォースガイドオブジェクト終了時の位置姿勢です。X, Y, Z, U, V, Wそれぞれの値を取得します。
    単位: X, Y, Z [mm] / U, V, W [deg]
  • AvgForcesリザルト
    フォースガイドオブジェクト実行中の力やトルクの平均値です。Fx, Fy, Fz, Tx, Ty, Tzそれぞれの値を取得します。
    単位: Fx, Fy, Fz [N] / Tx, Ty, Tz [N・mm]
  • PeakForcesリザルト
    フォースガイドオブジェクト実行中の力やトルクのピーク値です。ピーク値は、絶対値が一番大きな値です。Fx, Fy, Fz, Tx, Ty, Tzそれぞれの値を取得します。
    単位: Fx, Fy, Fz [N] / Tx, Ty, Tz [N・mm]
  • ForceCondOKリザルト
    力に関する終了条件を満たしたかどうかを示します。
    説明
    True 力に関する終了条件を満たした。
    False 力に関する終了条件を満たさなかった。
  • TriggeredForcesリザルト
    力に関する終了条件を満たした時の力やトルクです。Fx, Fy, Fz, Tx, Ty, Tzそれぞれの値を取得します。
    単位: Fx, Fy, Fz [N] / Tx, Ty, Tz [N・mm]
  • TriggeredPosリザルト
    力に関する終了条件を満たした時の位置姿勢です。X, Y, Z, U, V, Wそれぞれの値を取得します。
    単位: X, Y, Z [mm] / U, V, W [deg]
  • PosCondOKリザルト
    説明
    True 位置に関する終了条件を満たした。
    False 位置に関する終了条件を満たさなかった。
  • PosLimitedリザルト
    位置の制限範囲を超えたかどうかを示します。
    説明
    True 位置の制限範囲を超えた。
    False 位置の制限範囲を超えなかった。