引張り試験オブジェクト

引張り試験オブジェクトは、指定方向に指定の力を加えた状態を保持するオブジェクトです。
画像

上図は、引張り試験オブジェクトのイメージです。黄色い矢印のように、挿入オブジェクトで挿入する方向と逆方向に向かって一定の力を加えた状態を保持します。

引張り試験オブジェクトは、指定時間内に終了条件を満たしたとき成功または失敗となります。引張り試験オブジェクトは、力と位置に関する終了条件が使用できます。

各終了条件は必ず使用されます。
各終了条件の成功条件を全てが満たされた場合: 引張り試験オブジェクトの実行を終了し成功したと判定して、次のフォースガイドオブジェクトへ進みます。
各終了条件の失敗条件を1つでも満たされた場合: 引張り試験オブジェクトの実行を終了し失敗したと判定して、フォースガイドシーケンスの実行を中断します。

終了条件
成功条件
力に関する終了条件

Timeoutの指定時間内に、以下の全てをHoldTimeThreshで指定した時間の間満たし続けること

Fx, Fy, Fzの内、InsertOrientで指定した軸の力が、TestForce±TestTolFの範囲に入ること

位置に関する終了条件

Timeoutの指定時間内に、以下を満たすこと

InsertOrientで指定した軸と逆方向の、フォースガイドオブジェクト開始位置からの移動距離がClearanceを超えないこと

終了条件
失敗条件
位置に関する終了条件

Timeoutの指定時間内に、以下を満たすこと

InsertOrientで指定した軸と逆方向の、フォースガイドオブジェクト開始位置からの移動距離がClearanceを超えること

引張り試験オブジェクトのプロパティーガイドライン

Step 1. 基本情報を設定する
基本情報に関するプロパティー(Name, Description, Enabled, StepID, AbortSeqOnFail) を設定します。

プロパティー
説明, 設定指針
Name

フォースガイドオブジェクトの名前を設定します。

固有の名前を設定します。

Description

フォースガイドオブジェクトの説明を設定します。

動作の説明などを記述できます。任意の文字列を設定します。

Enabled フォースガイドオブジェクトを実行するかどうかを設定します。
True : 通常の場合
False : 別のフォースガイドオブジェクトを代わりに実行する場合など、フォースガイドオブジェクトを実行しない場合
StepID

フォースガイドオブジェクト実行中のStepIDです。

任意のIDを設定します。

StepIDとは、ログデータに記録されるIDです。ログデータが、どの工程に対応するかを、理解しやすくするためのものです。

フォースガイドシーケンスのAutoStepIDがFalseの場合に適用されます。

AbortSeqOnFail フォースガイドオブジェクトが失敗したときにフォースガイドシーケンスを終了するか継続するかを設定します。

True : 通常の場合

フォースガイドシーケンスを終了します。

False : フォースガイドシーケンス中に失敗したときのリカバリー動作を含んでいる場合や、失敗してもフォースガイドシーケンスを継続可能な場合

Step 2. 力制御機能を設定する
力制御機能に関するプロパティー(TestForce)を設定します。

プロパティー
説明, 設定指針
TestForce

引張り試験方向に加える試験力を設定します。

InsertOrientが正方向の場合: 正の値を入力します。

InsertOrientが負方向の場合: 負の値を入力します。

お客様のワークに合わせた値にしてください。

値が大きすぎる場合、挿入したワークが抜けることがあります。

値が小さ過ぎる場合、ロボットが移動しないことがあります。

Step 3. 終了条件の基本情報を設定する
タイムアウトに関するプロパティー (Timeout)を設定します。

プロパティー
説明, 設定指針
Timeout タイムアウト時間を設定します。

終了条件が設定されていない場合:

実行時間となります。

終了条件が設定されている場合:

指定時間内に終了条件を満たさないとき、失敗となります。

Step 4. 力に関する終了条件を設定する

プロパティー
説明, 設定指針
TestTolF

力に関する終了条件の、引張り試験方向の範囲です。終了条件とする範囲を設定します。

TestTolFがFx, Fy, Fzに適用されます。

Fx, Fy, Fz がInsertOrientで指定した方向の力が、TestForce±TestTolFの範囲に入ることを監視します。

下図は、TestTolFのイメージです。

画像

HoldTimeThresh

終了条件を満たしたと判定する継続時間を設定します。

下図のように、指定した条件がHoldTimeThreshで指定した時間の間継続したとき、終了条件を満たしたと判定します。

画像

通常は“0”に近い短い時間を設定します。

実際の結果から、時間を決定することを推奨します。

Step 5. 位置に関する終了条件を設定する
位置の終了条件に関するプロパティー (Clearance)を設定します。

プロパティー
説明, 設定指針
Clearance

位置に関する終了条件の、引張り試験方向の範囲を設定します。

InsertOrientで指定されている方向と逆方向の、動作開始位置からの移動距離が、Clearanceを超えないことを監視します。

下図がClearanceのイメージです。

画像

引張り試験オブジェクトのプロパティー詳細

  • Nameプロパティー
    フォースガイドオブジェクトに割りあてる固有の名前を設定します。
    挿入シーケンスを作成すると、自動的に名前が割りあてられます。自動的に割りあてられる名前は、TensileTest01のように、TensileTestの後ろに数字が組み合わせられます。
    名前は、変更できます。最大16文字まで指定できます。半角英数字と“_”(アンダースコア)が使用できます。先頭の文字を数字にすることはできません。
  • Descriptionプロパティー
    フォースガイドオブジェクトの説明を設定します。
    任意の文字列を255文字まで指定できます。
  • Enabledプロパティー
    フォースガイドオブジェクトを実行するかを指定します
    説明
    True フォースガイドオブジェクトを実行します。
    False フォースガイドオブジェクトを実行しません。
    デフォルト: True
  • StepIDプロパティー
    フォースガイドオブジェクト実行中のStepIDを指定します。AutoStepIDがFalseの場合のみ使用されます。
    最小値 0
    最大値 32767
    デフォルト: フォースガイドシーケンスとフォースガイドオブジェトの番号から自動設定されます。
  • AbortSeqOnFailプロパティー
    フォースガイドオブジェクト失敗時の処理を指定します。
    Trueを指定した場合、フォースガイドオブジェクトが失敗したとき、フォースガイドシーケンスを終了し、次のSPELステートメントへ進みます。
    Falseを指定した場合、フォースガイドオブジェクトが失敗しても、フォースガイドシーケンスを終了せず、次のフォースガイドオブジェクトへ進みます。
    失敗した場合のリカバリー処理をフォースガイドシーケンス内に含める場合などフォースガイドシーケンスを継続したい場合に使用します。
    説明
    True フォースガイドオブジェクト失敗時、シーケンスを終了します。
    False フォースガイドオブジェクト失敗時、次のフォースガイドシーケンスを開始します。
    デフォルト: True
  • TestForceプロパティー
    フォースガイドオブジェクト動作中の、挿入オブジェクトのInsertOrientで指定した動作と逆方向への引張力を指定します。
    • InsertOrientが+Fx, +Fy, +Fzの場合

      値 (単位: [N])
      最小値 0
      最大値 50

      デフォルト: 5

    • InsertOrientが-Fx, -Fy, -Fzの場合

      値 (単位: [N])
      最小値 -50
      最大値 0

      デフォルト: -5

  • TestTolFのプロパティー
    フォースガイドオブジェクトのTestForceで指定した引張力の、終了条件とする力の許容範囲を指定します。
    TestForce ± TestTolFの範囲を終了条件とします。
    最小値 0.1
    最大値 10
    デフォルト: 1
  • Clearanceプロパティー
    フォースガイドオブジェクトの動作開始から、フォースガイドオブジェクトの動作終了までに移動した距離の成功条件を指定します。移動距離が指定した距離より短い場合に成功となります。
    最小値 0.01
    最大値 10
    デフォルト: 1
  • HoldTimeThreshプロパティー
    力に関する終了条件について、判定までの継続時間を指定します。
    指定した条件が、HoldTimeThreshで指定した時間継続した場合、終了条件を満たしたと判定します。
    値 (単位: [sec])
    最小値 0
    最大値 10
    デフォルト: 0.1
  • Timeoutプロパティー
    フォースガイドオブジェクトのタイムアウト時間を指定します。
    Timeoutで指定した時間を超えても、TestForce, TestTolFで指定した条件を満たさなかった場合、引張り試験オブジェクトに失敗したと判定します。
    判定後、AbortSeqOnFailにしたがって、フォースガイドシーケンスを終了するか、次のフォースガイドオブジェクトへ進みます。
    値 (単位: [sec])
    最小値 0.1
    最大値 60
    デフォルト: 5

引張り試験オブジェクトのリザルト詳細

  • EndStatusリザルト
    実行した結果です。
    以下の冒頭に記載されている「成功条件」を満たした場合、成功となります。
    挿入オブジェクト
    説明
    Passed フォースガイドオブジェクトが成功した。
    Failed フォースガイドオブジェクトが失敗した。
    NoExec フォースガイドオブジェクトが実行されなかった。
    Aborted フォースガイドオブジェクトの実行中に停止した。

Timeリザルト
実行にかかった時間です。
単位: [sec]

  • TimedOutリザルト
    Timeoutプロパティーで指定したタイムアウト時間に到達したかどうかを示します。
    説明
    True タイムアウト時間に到達した。
    False タイムアウト時間に到達する前に終了した。
  • EndForcesリザルト
    フォースガイドオブジェクト終了時の力やトルクです。Fx, Fy, Fz, Tx, Ty, Tzそれぞれの値を取得します。
    単位: Fx, Fy, Fz [N] / Tx, Ty, Tz [N・mm]
  • EndPosリザルト
    フォースガイドオブジェクト終了時の位置姿勢です。X, Y, Z, U, V, Wそれぞれの値を取得します。
    単位: X, Y, Z [mm] / U, V, W [deg]
  • AvgForcesリザルト
    フォースガイドオブジェクト実行中の力やトルクの平均値です。Fx, Fy, Fz, Tx, Ty, Tzそれぞれの値を取得します。
    単位: Fx, Fy, Fz [N] / Tx, Ty, Tz [N・mm]
  • PeakForcesリザルト
    フォースガイドオブジェクト実行中の力やトルクのピーク値です。ピーク値は、絶対値が一番大きな値です。Fx, Fy, Fz, Tx, Ty, Tzそれぞれの値を取得します。
    単位: Fx, Fy, Fz [N] / Tx, Ty, Tz [N・mm]
  • ForceCondOKリザルト
    力に関する終了条件を満たしたかどうかを示します。
    説明
    True 力に関する終了条件を満たした。
    False 力に関する終了条件を満たさなかった。
  • TriggeredForcesリザルト
    力に関する終了条件を満たした時の力やトルクです。Fx, Fy, Fz, Tx, Ty, Tzそれぞれの値を取得します。
    単位: Fx, Fy, Fz [N] / Tx, Ty, Tz [N・mm]
  • TriggeredPosリザルト
    力に関する終了条件を満たした時の位置姿勢です。X, Y, Z, U, V, Wそれぞれの値を取得します。
    単位: X, Y, Z [mm] / U, V, W [deg]
  • PosLimitedリザルト
    位置の制限範囲を超えたかどうかを示します。
    説明
    True 位置の制限範囲を超えた。
    False 位置の制限範囲を超えなかった。