力制御機能

力制御機能の概要

力制御機能とは、弊社の力覚センサーを用いて、与えられた目標の力やトルクを達成するためにロボットを制御する機能です。
通常、ロボットは、与えられた目標位置に移動する位置制御によって動作します。力制御機能を使用して、目標の力になるように動作させることができます。また、高精度な位置決めや嵌合作業をさせることができます。
力制御機能は、通常のCP動作コマンドと組み合わせて実行したり、力制御機能のみを実行できます。
力制御機能は、指定された座標系上で行われ、6軸 (X, Y, Z, U, V, W)それぞれ独立させて実行できます。そのため、全軸について、同時に力制御機能を有効にすることや、指定軸のみ力制御機能を有効にすることもできます。
また、軸ごとで力制御機能の特性を変えることができるため、ある軸は押しつけを行い、別の軸は力にならうことなど、多様なアプリケーションを実現できます。

力制御機能のパラメーター

力制御機能で重要な3つのパラメーターについて説明します。
次の3つのパラメーターと目標力を変更することで、多様な特性を持った力制御機能が行えます。

  • 仮想慣性係数 (Mass)
    力制御機能の仮想的な質量です。単位は以下の通りです。
     並進方向(Fx, Fy ,Fz) : mN/(mm/sec2)
     回転方向(Tx, Ty, Tz): mN・mm/(deg/sec2)
    仮想慣性係数は、力制御機能の加速度に影響します。同じ力の変化に対して、仮想慣性係数が小さい場合は加速度が大きくなり、大きい場合は加速度が小さくなります。

  • 仮想粘性係数 (Damper)
    力制御機能の仮想的な粘性です。単位は、以下の通りです。
     並進方向(Fx, Fy, Fz): N/(mm/sec)
     回転方向(Tx, Ty, Tz) : N・mm/(deg/sec)
    仮想粘性係数は、力制御機能の速度に影響します。仮想粘性係数が小さい場合は速度が大きくなり、力の変化に対して早く反応しますが、ロボットの動作が振動的になる可能性があります。逆に大きい場合は速度が小さくなり、振動が抑制されますが力の変化に対する反応に遅れが生じます。

  • 仮想弾性係数 (Spring)
    力制御機能の仮想的なバネ係数です。単位は、以下の通りです。
     並進方向 (Fx, Fy, Fz): N/mm
     回転方向 (Tx, Ty, Tz): N・mm/deg)
    仮想弾性係数は、力制御機能の移動量に影響します。仮想弾性係数を設定すると仮想的なバネが存在することになり、ロボットの最大移動量が制限されます。これを用いてロボットが周囲の物体に干渉することを防ぐことができます。
    また、“0”を設定した場合、移動量は制限されなくなります。同じ一定の力が加わり続けたとき、仮想弾性係数が小さい場合は、移動量が大きくなり、逆に大きい場合は、移動量が小さくなります。