汎用シーケンスのプロパティー設定ガイドライン

一般的な設定手順と、各プロパティーの設定方法を説明します。

Step 1. 基本情報を設定する
基本情報に関するプロパティー(Name, Description, RobotNumber, AutoStepID)を設定します。

プロパティー
説明
Name

フォースガイドシーケンスの名前です。

固有の名前を設定します。

Index

フォースガイドシーケンス固有の番号です。

自動的に割り振られます。設定できません。

Description

フォースガイドシーケンスの説明です。

作業内容などを記述します。任意の文字列を設定します。

Version

シーケンスの互換バージョンです。

シーケンスは指定されたバージョンの機能で動作します。

RobotNumber

フォースガイドシーケンスを実行するロボットの番号です。

実行するロボット番号を設定します。

RobotType

RobotNumberで指定したロボットのロボットタイプです。

設定できません。

AutoStepID

フォースガイドオブジェクトのStepIDを自動設定するかどうかを設定します。

StepIDとは、ログデータに記録されるIDです。ログデータがどの工程に対応するかを分かりやすくするためのものです。

True : 通常

False : 手動でStepIDを指定したい場合

Step 2. センサー値の補正に関して設定する
センサー値の補正に関するプロパティー(ResetSensor, MPNumber)を設定します。

プロパティー
説明, 設定指針
ResetSensor フォースガイドシーケンスの実行時、条件分岐とSPEL関数以外のフォースガイドオブジェクトを初めて実行したとき、力覚センサーをリセットするかどうかを設定します。

True : フォースガイドシーケンス開始時に接触していない場合

(通常、フォースガイドシーケンスの開始時は非接触状態で開始します。)

False : フォースガイドシーケンスの実行後、接触状態のまま、別のフォースガイドシーケンスを実行するような特殊な場合
MPNumber

フォースガイドシーケンス実行中に使用するマスプロパティーオブジェクト番号を設定します。

マスプロパティーオブジェクトとは、重力補償に用いるプロパティーをまとめたものです。

“0” : フォースガイドシーケンス実行中に、姿勢(U,V,W)を大きく変化させない場合
作成したマスプロパティー番号: フォースガイドシーケンス実行中に、姿勢を大きく変化させる場合

マスプロパティーの詳細は、次の項を参照してください。

ソフトウェア編 重力補償

Step 3. 力制御機能の座標系に関して設定する
力制御機能の座標系に関するプロパティー(ForceOrient, RobotLocal, RotationCenterType, RotationCenterTLX, RotationCenterTLY, RotationCenterTLZ)を設定します。

プロパティー
説明, 設定指針
ForceOrient 力制御機能を実行する座標系の方向を設定します。

Base, Local :

フォースガイドシーケンスの開始時の姿勢が変わっても、鉛直下向き方向に押し付けるなど、外から見て、常に一定の方向に対して力制御機能を実行したい場合

Localは、一定の方向がベース座標系の軸とは異なる場合に指定します。

下図は、Baseを設定した例です。

例えば-Z方向に押し付けた場合、ロボット手先の姿勢が変わっても、常に鉛直下向き方向(ベース座標系の-Z方向)に押し付けを行います。(黒い矢印はロボットの動く方向を示します。)

画像

Tool:

開始時の姿勢に合わせて、力制御機能を実行したい場合

下図は、Toolを設定した例です。

例えば+Z方向に押し付けた場合、開始時のロボット手先の姿勢にしたがって、押し付ける向きが変わります。

画像

RobotLocal ForceOrientが、Localのときに使用されるローカル座標系番号を設定します。
RotationCenterType 力制御機能を実行したときの回転中心設定の種類を設定します。

Relative:

下図のように設定しているツール座標系の原点が、実際に接触して力のかかる点と離れている場合

力制御機能の回転中心は、接触点とすることを推奨します。

ただし基本的に接触点がツール座標系の原点になるように、ツール座標系を設定することを推奨します。

画像

CurrentTool:

ツール座標系の原点と、接触点が近い場合、またはフォースガイドシーケンス実行中に回転方向の力制御機能を使わない場合

RotationCenterTLX RotationCenterTypeがRelativeのときの、ツール座標系から回転中心までの各方向のオフセット量を設定します。
RotationCenterTLY
RotationCenterTLZ

力制御機能の座標系に関する設定は、シミュレーター機能によって設定状態を確認することができます。ただし、フォースガイドシーケンス内に、フォースガイドオブジェクトが1つも配置されていない場合は、フォースガイドオブジェクトを設置してから確認してください。
シミュレーター機能による表示方法は、次のマニュアルを参照してください。
"Epson RC+ 8.0 ユーザーズガイド - シミュレーター - 機能説明"

Step 4. 最大速度と最大加速度を設定する
最大速度と最大加速度に関するプロパティー(LimitAccelS, LimitAccelR, LimitSpeedS, LimitSpeedR)を設定します。

プロパティー
説明, 設定指針

LimitSpeedS

LimitSpeedR

フォースガイドシーケンス実行中の最大速度を設定します。

LimitSpeedS: 最大並進速度

LimitSpeedR: 最大回転角速度

力制御機能では、力の加わり方によって、速度が増減します。LimitSpeedSとLimitSpeedRを超えないように制御されます。

LimitAccelS

LimitAccelR

フォースガイドシーケンス実行中の最大加速度を設定します。

LimitAccelS: 最大並進加速度

LimitAccelR: 最大回転角加速度

力制御機能では、力の加わり方によって、加速度が増減します。LimitAccelSとLimitAccelRを超えないように制御されます。

この値が小さいと、力を受けた時の反応が遅くなり、大きくバウンドすることがあります。

ロボットがバウンドするような場合は大きく、発振するような場合は小さくしてください。

Step 5. 記録に関する条件を設定する
記録に関するプロパティー(LogRobotLocal, LogFileEnabled, LogFileAutoName, LogFileNameVar, LogFileMaxTime, LogFileInterval)を設定します。

プロパティー
説明, 設定指針
LogRobotLocal

記録するロボット位置の基準とするローカル座標系番号を設定します。

位置に関するログデータは指定されたローカル座標系における位置として記録されます。

Base : 通常
ローカル座標系番号 : 指定するローカル座標系における位置として記録したい場合
LogFileEnabled フォースガイドシーケンス実行中のログデータをファイルに保存するかどうかを設定します。

False : ファイルに保存されません。

実行時にフォースガイドウィンドウのグラフでログデータを確認することができます。

LogFileAutoName ログデータファイルの名前を自動設定するかどうかを設定します。

True : 自動設定する場合

フォースガイドシーケンス名と開始時刻から生成されます。

“フォースガイドシーケンス名_年月日_時分秒ミリ秒”

False : 任意の名前を指定する場合
LogFileNameVar LogFileAutoNameが、Falseのときの、ログデータファイルの名前を示すグローバル変数を設定します。
LogFileInterval ファイル化するときのログデータのサンプリング間隔を設定します。
LogFileMaxTime ファイル化するときのログデータの最大時間を設定します。

Step 6. 開始位置の確認に関して設定する
開始位置の確認に関するプロパティー(PointFile, RobotTool, PosCheckEnabled, OrientCheckEnabled, StartCheckPoint, StartPointTolLocal, StartPointTolX, StartPointTolY, StartPointTolZ, StartPointTolRot)を設定します。

プロパティー
説明, 設定指針
PointFile

フォースガイドシーケンスで使用する予定のポイントファイルを設定します。

開始時に、指定されたポイントファイルが読み込まれていない場合、エラーになります。誤操作防止用のプロパティーです。

設定しない場合は、どのポイントファイルが読み込まれていても実行されます。

RobotTool

フォースガイドシーケンスで使用する予定のツール番号を設定します。

開始時に、設定されたツール番号が選択されていない場合、エラーになります。誤操作防止用のプロパティーです。

PosCheckEnabled

開始時の位置姿勢(X,Y,Z,U,V,W)が設定された範囲内であることを確認するかどうかを設定します。

ビジョンで開始位置を見つけて移動した場合などに、想定する範囲内であることを確認します。範囲外の場合、フォースガイドシーケンスは失敗として終了します。エラーにはなりません。

失敗した場合は、別の開始位置に移動するなど、リカバリーが可能になります。

下図は範囲を設定したイメージです。

赤い範囲を許容範囲として図示しています。各プロパティーによって範囲を設定します。

また図示していませんが、StartPntTolZ, StartPntTolRotによって、Z方向の許容範囲と回転方向の許容範囲を設定します。

画像

True : 位置姿勢を確認する場合

OrientCheckEnabled

開始時のアーム姿勢(Hand, Elbow, Wrist)が設定された状態と一致することを確認するかどうかを設定します。

ビジョンで開始位置を見つけて移動した場合などに、想定する開始アーム姿勢であることが確認できます。

不一致の場合、フォースガイドシーケンスは失敗として終了します。エラーにはなりません。

失敗した場合は、別の開始位置に移動するなど、リカバリーが可能になります。

True : アーム姿勢を確認する場合

StartCheckPoint 開始時の位置姿勢確認、またはアーム姿勢確認の、基準とするポイント番号を指定します。
StartPntTolLocal

PosCheckEnabledが、Trueのとき、許容誤差方向の基準とするローカル座標系番号を設定します。

軸の方向だけが使用されます。ローカル座標系の原点位置は影響しません。

StartPntTolX

StartPntTolLocalで指定したローカル座標系の各方向の許容範囲を設定します。

X方向は、基準位置±StartPntTolXが許容範囲とされます。

Y, Z方向も同様です。

StartPntTolY
StartPntTolZ
StartPntTolRot

回転方向の許容範囲を設定します。

基準姿勢±StartPntTolRotが許容範囲とされます。

U,V,W全ての方向に対して設定されます。