Vision Guide 8.0を使用するために必要な基本的概念

本章の内容を理解していただくために、いくつかの基本的な概念を簡単に説明します。

ビジョンシーケンス

ビジョンシーケンスとは、特定の順番でビジョンオブジェクトをグルーピングしたもので、Vision Guideウィンドウ、またはSPEL+言語から実行することができます。
ビジョンシーケンスは、ビジョンシーケンスの実行を設定するのに使われる特定のプロパティーを備えています。例えば、Cameraプロパティーは、どのカメラでビジョンシーケンスのイメージを取り込むかを定義し、RuntimeAcquireプロパティーは、ビジョンシーケンスにイメージを取り込む方法を定義します。
ビジョンシーケンスは、特定のビジョンプロセス、あるいはプロセスの一部を処理するのに必要なビジョンオブジェクトのすべてを含む、コンテナのようなものと考えることができます。一般的に、ビジョンシーケンスは、すべてのビジョンプロセスの開始点となります。

ビジョンオブジェクト

ビジョンオブジェクトとは、カメラにより取り込まれたイメージに適用できるビジョンツールです。
ビジョンオブジェクトに装備されているオブジェクトには、幾何学相関サーチ, 相関サーチ, 2値検査, ポーラサーチ, エッジ検出, 直線サーチ, 円弧サーチ, 差分検査, ライン, ポイント, フレームなどがあります。
すべてのビジョンオブジェクトは、実行(現在のイメージに適用)後に、ビジョンオブジェクトの実行に要した時間, 位置情報, 角度情報, ビジョンオブジェクトの検出の有無, オブジェクトの合否, などのリザルトを返します。
ビジョンオブジェクトは、ビジョンオブジェクトの動作特性の定義に使用されるプロパティーと、ビジョンオブジェクト実行後に返される値のリザルトを持っています。

プロパティー

プロパティーとは、ビジョンオブジェクト、またはビジョンシーケンスに設定されたパラメーターと考えることができます。
ビジョンプロパティーは、ビジョンアプリケーションを素早く作成しテストする方法を提供するVision Guideウィンドウから、ポイント クリックの操作で設定することができます。
ビジョンプロパティーは、SPEL+言語から設定したり、設定値のチェックをすることができ、実行時にビジョンオブジェクトのダイナミックな修正が必要とされたときでも柔軟に対応できます。
ビジョンシーケンスプロパティーとビジョンオブジェクトプロパティーは、非常にパワフルです。なぜなら、これらは簡単に修正できるばかりでなく、ビジョンオブジェクトを理解しやすく、使用しやすくするからです。それと同時に、より複雑なアプリケーションに求められる柔軟性があります。

リザルト

リザルトとは、ビジョンオブジェクト、またはビジョンシーケンスの実行後に返される値です。通常用いられるリザルトの例は、次のとおりです。

Time ビジョンオブジェクト、またはビジョンシーケンスの実行に要した時間を返します。
RobotXYU ロボット座標で検出された特徴のX, Y, Uの位置を返します。
Found ビジョンオブジェクトが検出されたかどうかを返します。
Passed ビジョンオブジェクトの検出結果がOKかNGかを返します。

ビジョンリザルトは、Vision Guideウィンドウで、シーケンスウィンドウとオブジェクトウィンドウで見ることができます。SPEL+プログラムでは、ビジョンリザルトを使うこともできます。

実行時ビジョンコマンド

ロボットの動作とビジョンガイダンスのシームレスな統合のために、SPEL+言語には一連のビジョンコマンドが追加されています。
VRunコマンドは、1つのファンクションの呼び出しでSPEL+言語からビジョンシーケンスを起動することができます。
VGetコマンドは、ビジョンオブジェクト、ビジョンシーケンス、キャリブレーションから返されたリザルトを得ることができます。
ビジョンコマンドは、Vision Guide 8.0のポイント クリックの操作による開発環境で作成、修正、保守することができ、しかも、Vision Guide 8.0で作成されたコマンドはすべてSPEL+言語からもアクセスできるため、非常にパワフルです。

必要なビジョンハードウェア
Vision Guide 8.0を使用するには、以下のいずれかのハードウェアが必要になります。

  • コンパクトビジョン CV2A (Ver.3.2.0.3以降のファームウェア)
  • PCビジョン PV1
    各ハードウェアの詳細は、以下を参照してください。
    "Vision Guide 8.0 ハードウェア&セットアップ編"

Epson RC+ 8.0プロジェクトでのVision Guide 8.0

Epson RC+ 8.0 は、ロボットアプリケーションに必要とされる、すべてのプログラム、ティーチングポイント、ロボット設定のコンテナであるプロジェクトをベースとしています。
このプロジェクトの構成により、複数のプロジェクトで1台のロボットを使用することや、過去の作業アプリケーションを破棄することなく、新規アイデアをチェックする環境テストなどが簡単に実行できます。
Vision Guide 8.0を含むEpson RC+ 8.0アプリケーションを作成するとき、アプリケーションに必要な、すべての関連ビジョンシーケンスとビジョンオブジェクトは、プロジェクトに通常含まれるその他の項目と同様、プロジェクト内に保存されます。これにより、既存のプロジェクトを開く時には、プロジェクトに関連するすべてのものが利用可能になります。