ツール設定の確認
ツール設定の方法を説明します。
高さ検査シーケンスでは、実際の検査方向と、現在のツール設定の対応を意識する必要があります。
ノギスなどを使用して、J6フランジ面から、高さ検査を行う際の取り付けられたワークの接触位置までの距離を測定します。
[コマンドウィンドウ]で下記を実行します。
“Length”は、手順(1) で測定した値を入力してください。> Tlset 1,XY(0,0,Length,0,0,0)
Epson RC+ メニュー-[ツール]-[Simulator]を選択します。[シミュレーター]ウィンドウが表示されます。
オブジェクトツリー-[マニピュレーター名]-[Tool]を選択します。
“No.1”-[表示]チェックボックスをチェックします。
[シミュレーター]ウィンドウの表示と、実際のロボットと比較し、ツール設定が合っていることを確認します。
[シミュレーター]ウィンドウの表示から、ツールの+Z方向に対して高さ検査することが分かりました。
位置の教示
高さ検査シーケンスのシーケンス開始位置を教示する方法を説明します。
Epson RC+メニュー-[ツール]-[ロボットマネージャー]をクリックします。
[ロボットマネージャー]ダイアログが表示されます。[ジョグ&ティーチ]を選択し、パネルを表示します。
[Tool]で“1”を選択します。
ジョグボタンをクリックし、検査対象物との接触位置から3mm程度上空にロボットを移動させます。
必要に応じて、コマンドウィンドウで下記コマンドを実行します。> Go Align(Here)
現在位置を基準にBase座標系に対して平行な姿勢になります。向かい合わせた状態に移動することが簡単になります。
詳細は、下記マニュアルを参照してください。Epson RC+ SPEL+ ランゲージリファレンス Align関数[ポイント]で“P1”を選択します。
[ティーチ]ボタンをクリックします。
次のメッセージが表示されます。
メッセージを確認し、[はい]ボタンをクリックします。
[新規ポイント情報]ダイアログが表示されます。
[ポイントラベル]に、“HeightInspectStart”を入力し、[OK]ボタンをクリックします。
Epson RC+メニュー-[ファイル]-[全てのファイルを保存]をクリックします。
設定した内容が、ファイルに保存されます。
シーケンスウィザード
専用フォースガイドシーケンスの高さ検査シーケンスを作成する方法を説明します。
- [新規シーケンス名前の入力]に、“HeightInspectSeq”と入力します。
[次へ]ボタンをクリックします。
- [Step 2: シーケンスタイプの選択]ダイアログが表示されます。
[専用シーケンス]を選択します。 [次へ]ボタンをクリックします。
- [Step 3: 専用シーケンスの選択]ダイアログが表示されます。
[高さ検査]を選択します。
[次へ]ボタンをクリックします。
- [Step 4: 使用するツール番号の選択]ダイアログが表示されます。
下表のプロパティーを変更します。
[次へ]ボタンをクリックします。
項目設定値説明Tool 1 このシーケンスで使用するツール番号を指定します。 - [Step 5: ツールオフセットの設定]ダイアログが表示されます。
ツールオフセットを設定します。初期値のまま、変更の必要はありません。
[次へ]ボタンをクリックします。
- [Step 6: 高さ検査方法と方向の設定]ダイアログが表示されます。
検査方法に[位置で検査する]を選択し、座標系にBaseを選択します。
本チュートリアルはツールの+Z方向に対して高さ検査します。
ツール座標系のZ軸が鉛直下方向である際は、ベース座標系のZ軸と平行かつ逆向きとなるため、検査方向はベース座標系で-Fz方向を選択します。
[次へ]ボタンをクリックします。
- [Step 7: 検査基準位置と許容誤差の設定]ダイアログが表示されます。
下表のプロパティーを変更します。
[次へ]ボタンをクリックします。
項目設定値説明検査基準位置 37 ツール座標系を1に設定した際のベース座標系における、高さ検査が成功したと判定するZ座標位置を設定します。
お客様の使用環境に合わせてZ座標位置を設定してください。
チュートリアルでは37mmとします。
許容誤差 1 高さ検査が成功となる、位置の許容誤差を設定します。
1mmとします
- [Step 8:高さ検査の接触速度の設定]ダイアログが表示されます。
[ワークの頑丈さから選択する]を選択します。
下表のプロパティーを変更します。
[次へ]ボタンをクリックします。
項目設定値説明頑丈さ 硬い(金属) ワークの頑丈さから接触速度を設定します。
硬い(金属)を選択した場合の接触速度は2mm/secになります。
- [Step 9: 作業のタイムアウト時間の設定]ダイアログが表示されます。
下表のプロパティーを変更します。
[次へ]ボタンをクリックします。
項目設定値説明タイムアウト時間 10 タイムアウト時間を設定します。
10secとします。
- [完了]ダイアログが表示されます。[完了]ボタンをクリックします。
[HeightInspectSeq]シーケンスが作成されていることを確認します。
設定の確認
シミュレーターを使用して、検査方向などの設定が正しいか確認する方法を説明します。
- Epson RC+メニュー-[ツール]-[Simulator]をクリックします。
[シミュレーター]ウィンドウが表示されます。 - オブジェクトツリー-[Tool]をクリックします。
“No.1”-[表示]チェックボックスをチェックします。“ツール1”の矢印が表示されます。 - オブジェクトツリー-[Force]-[Force Guide]-[HeightInspectSeq]をクリックします。
“HeightInspect01”-[表示]チェックボックスをチェックします。
黄色い矢印が表示されている方向が、検査方向であることを確認してください。
フォースガイダンス機能による実行
作成した高さ検査シーケンスを、Epson RC+で実行する方法を説明します。
- [Force Guide]ウィンドウを表示します。
- [ジョグ]タブを選択します。
- [POWER HIGH]ボタンをクリックします。
ワークを破損する可能性がある場合は、ローパワーモードで動作させてください。 - [実行]ボタンをクリックします。
コンパイルが実行され、ロボットコントローラーにプログラムが送信されます。
設定に誤りがある場合、エラーが発生します。これまでの設定内容を再確認し、エラーメッセージにしたがってパラメーターを修正してください。
- 作業が正しく終了すると、フローチャート左上に “ ”が表示され、高さ検査が完了した状態となります。
非接触状態に戻る
高さ検査シーケンス完了後、ロボットとワークとの間にかかる力は継続しています。
ロボットやエンドエフェクターなどの故障や破損を防ぐため、作業後は、速やかに力が掛らない状態にする必要があります。
対象物に力が加わっていないことが明らかな場合は、この手順を省略できます。
非接触状態にする手順は、以下の方法があります。
- Epson RC+メニュー-[ツール]-[ロボットマネージャー]-[ジョグ&ティーチ]パネル-[ジョグ]グループで、ジョグ動作を手動で行い、ロボットを対象物から離す
- Epson RC+メニュー-[ツール]-[ロボットマネージャー]-[ジョグ&ティーチ]パネル-[動作命令実行]タブを操作して、ロボットを対象物から離す
- Move命令を[コマンドウィンドウ]で実行して、ロボットを対象物から離す
- SPEL関数オブジェクトを、HeightInspectオブジェクトの後に追加し、フォースガイドシーケンスの最後で自動的にロボットを対象物から離す
本項では、[ロボットマネージャー]-[ジョグ&ティーチ]-[動作命令実行]タブの操作で、非接触状態にする方法を説明します。
- [ロボットマネージャー]を表示します。
- [ジョグ&ティーチ]タブを選択します。
- [動作命令実行]タブを選択します。
- [動作コマンド]で“Move”を選択します。
- [目標位置]で“P1”を選択します。
- [実行]ボタンをクリックします。
ロボットは、開始位置 “P1” に移動します。これで、非接触状態となりました。
モニターによる動作分析
フォースガイドシーケンスの動作結果をEpson RC+で確認する方法を説明します。
- [Force Guide]ウィンドウを表示します。
- [HeightInspect]のシーケンスフローをクリックします。
- [リザルト]に、作業結果(Passed / Failed)や、終了時点での検出した力の値、所要時間などが表示されます。
- [モニター] に [HeightInspect]シーケンスを実行している間の力や、位置のグラフが表示されます。
[1D位置]タブ
解析用のグラフです。(横軸: 時間, 縦軸: 位置)
位置ZチャートのCurZが低くなる (小さくなる)方向に動いています。
1.7秒付近で “Step 1”が終了し、力制御が一旦完了しているため、RefZ (基準位置)の値が、CurZ (現在位置)に向かって真っすぐ降りている (ジャンプしている)ことがわかります。
[2D位置]タブ
解析用のグラフです。(縦軸, 横軸: 位置)
本チュートリアルの高さ検査では、X-Y方向に動かないため、特に必要はありません。[位置差分]タブ
力制御による、相対的な位置変化を表示しています。
グラフの表示単位などを変更し、力や位置の変化の状態を確認してみましょう。
正しく検査されなかった場合、設定が間違っている可能性があります。
下記を参考に、本チュートリアルの手順を再度確認してください。
- 接触方向は正しいか
- 設定した検査基準位置が、ロボットと検査対象物の接触位置から大きくずれていないか
これで、高さ検査シーケンスのチュートリアルを終わります。