パーツ
Part Feedingオプションで使用できるパーツについて説明します。
パーツは1プロジェクトあたり32個まで登録できます。
キーポイント
販売元では、お客様のパーツがPart Feedingオプションに適合するかを評価する体制を整えています。詳しくは、販売元にお問い合わせください。
扱えるパーツの条件
フィーダーで扱うことのできるパーツには、以下のような条件があります。
ビジョンの適合性
パーツをビジョンで正しく認識できることが必要です。
- 透明樹脂で成形された部品は、光が透過するため、形状を認識できない場合があります。この場合、照明を可視光以外に変えることや、反射照明を使用することで解決できる場合があります。
- パーツの表裏を判別する場合、パーツの形状によっては表裏を判別できない場合があります。この場合、反射照明を追加することで解決できる場合があります。
大きさ, 質量
大きなパーツほど、プラットフォームに入るパーツ数(重ならずに敷き詰めることのできる数)が減少します。この数が小さい場合、フィーダーの動作回数が増え、ロボット動作時間が相対的に減少するため、サイクルタイムが低下します。パーツ数の目安として、フィーダーに50個以上のパーツが入れられることが望ましいです。
パーツの総重量 (パーツ1個の重さ×プラットフォームに重なりなく入れることのできるパーツ数)が、フィーダーの可搬質量以下である必要があります。この質量を超えると、フィーダーが過負荷となり、パーツの分離能力が低下してサイクルタイムが低下したり、フィーダーの寿命が減少したりすることがあります。
フィーダーの可搬質量については、各フィーダーのマニュアルを参照してください。
パーツの材質, 状態
以下のパーツは、Part Feedingオプションには適していません。
- 柔らかい材質や、軽い材質のパーツ
例: 紙、繊維質のもの - 振動で破損や変形をしたり、こすれて粉塵を発生するパーツ
例: 紛体を固めたもの、塗装されたもの - 粘着性があるもの、液体を漏出するパーツ
例: 食品
パーツの形状、その他
球形のパーツは、フィーダー上で静止しないので、ピックが困難です。オプションの転がり防止プラットフォームを使用してください。
例: ベアリング鋼球からまりやすいパーツは、分離が困難です。
例: コイルスプリング断面方向で形状が違い、光を透過しない材質のパーツは、透過光では裏表が識別ができない場合があります。以下にそのようなパーツの例を示します。
断面方向で形状が違う部品は選別不可能
平面で外形形状が異なる場合は表裏選別が可能吸着式でピックアップする場合、パーツをピックアップするとき、パーツ吸着面がフィーダー底面と平行になる面があり、さらに、吸着パットなどが垂直に降下でき、吸着パッドの面積が十分確保できるパーツをお勧めします。以下にそのようなパーツの例を示します。
球体(Ball)
フィーダー底面と吸着面が平行にならない部品
吸着位置に段差がある場合吸着方式で給材する場合、重心に段差がないようにしてください。以下にそのようなパーツの例を示します。
十分な吸着面積が確保できない部品
円滑な面が確保できない部品(吸着方式で給材する場合)
下部からの光が透過する部品組立工程で使用する場合、ピックアップしたあと、部品の位置ずれを防止する工夫をしてください。その工夫は、パーツにガイド穴があり、また、ハンド側にピンがあり、位置ずれを抑制するといったものになります。他の工夫として、上向き固定カメラを設置して、ピック後の部品を位置合わせする方法もあります。
パーツ例
Part Feedingオプションで使用できるパーツ例を示します。
IF-240では、No.1~3のパーツが適しています。No.4, 5は、IF-240には大きすぎたり、重すぎたりするため適していないパーツです。No.6, 7は、IF-240, IF-380, IF-530には小さすぎたり、軽すぎたりするため適していないパーツです。
No | 図 | 特質 | サイズ [mm] | 重さ [g] | コメント |
---|---|---|---|---|---|
1 | 金属プレス部品 | 10 × 10 × 0.2 | 0.088 | IF-240に適する | |
2 | 金属プレス部品 | 11 × 5.5 × 0.2 | 0.029 | IF-240に適する | |
3 | 樹脂部品 | 10 × 9 × 2.1 | 0.127 | IF-240に適する | |
4 | ナイロンコネクター | 21 × 29.9 × 21 | 7.1 | IF-380に適する | |
5 | 高ナット | 36 × 11 × 9.5 | 14 | IF-380、530に適する | |
6 | IC | 5 × 4.4 × 1.5 | 0.082 | IF-80に適する | |
7 | 金属ブッシュ | ø4 × 1 | 0.102 | IF-80に適する |
No.1, 2は、バックライトのみでは表裏判別することができません。
No.3は、バックライトのみで表裏判別することができます。
フィーダー上への投入数と画像処理検出数の関係
フィーダー上へのパーツ投入数と画像処理検出数には、上に凸となる関係があります。
フィーダー上のパーツは、隣のパーツと接触したり、重なったりして投入したパーツを全て検出することはできません。パーツによって、隣との接触しやすさ、重なりやすさが異なり、グラフの形が異なります。Part Feedingオプションでは、販売元での実験を踏まえ最適なパーツ投入数をキャリブレーションで求めます。
パーツNo.1と3のフィーダー上への投入数と画像処理検出数の関係グラフを示します。
フィーダー上に投入したパーツ全てを検出できないこと、投入数によって検出数が変化することに着目してください。
フィーダー上への投入数と平均UPM (Unit Per Minute)の関係
ある時間ピックアップ動作をさせたときの時間当たりの平均ピックアップ数を平均UPMとします。
パーツNo.1と3の、フィーダー上への投入数と、平均UPMの関係グラフを示します。パーツNo.1, 3ともに上に凸のグラフとなります。ロボットのスピード, 加速度,移動量によって、平均UPMは変化するため、ここではあえて縦軸の数値は表示してありません。ロボットの動作条件以外に、フィーダーへのパーツ投入数によって、UPMが変化すること、UPMを大きくする最適なフィーダーへのパーツ投入数があることに注意してください。
フィーダーの動作とUPM (Unit Per Minute)の関係
横軸に時間を取り、動作する機器をロボット, ビジョンフィーダー, ホッパーとします。各機器の動作するタイミングをプロットすると下図のようになります。動作開始時にビジョンフィーダー動作で、フィーダー上にパーツがないことを検出し、ホッパーを動かしパーツをフィーダー上に投入します。
その後、フィーダーが動作し、パーツを分散させ、Visionによるパーツ検出を行いロボットがピックアップ動作を行います。ピックアップできるパーツがなくなると、再びビジョンフィーダー動作によりパーツを分散, 検出します。そしてロボット動作を再び行います。
ビジョンフィーダーとロボット動作を繰り返していくと、フィーダー上のパーツ数が減っていきます。設定する閾値に応じてホッパーが動作するタイミングでホッパーを動作させパーツを投入します。ここでは、並行給材動作を前提としたグラフとなっています。
ビジョンフィーダーとロボット動作を繰り返し行うため、ビジョンフィーダーが動作している瞬間のUPMは “0”になります。ロボットが動作している瞬間のUPMは、「フィーダー上への投入数と平均UPM (Unit Per Minute)の関係」で示した平均UPMより大きな値になります。平均UPMは、ビジョンフィーダーが動作している瞬間のUPM=0と、ロボットが動作している瞬間のUPMの時間平均となることに注意してください。
また、図でロボット動作している青い線の長さは一定ではありません。これは、ピックアップできるパーツの数が、フィーダー上のパーツの分散具合で異なること、ピックアップ動作を繰り返すとフィーダー上のパーツ数が減りピックアップできるパーツが減ることによります。
安定的なパーツ供給を行うためには、できるだけフィーダー上のパーツ数を一定に保つことが必要です。
フィーダー上のパーツ数とホッパー動作の関係
安定的なパーツ供給のために、ここでは、ホッパーから取り切り給材を行った場合と、最適投入数180、ホッパー投入数90とし並行給材を行った場合の、フィーダー動作回数ごとの、瞬時UPM (Unit Per Minute)とフィーダー上のパーツ数のグラフを示します。
取り切り給材では、パーツを取り切らないとホッパーから給材しないため、瞬時UPMがどんどん下がって行き、パーツが無くなり、ホッパーからパーツを供給すると瞬時UPMももとに戻ります。
並行給材では、ホッパー動作2~4回程度に1回ホッパーが動作するため、フィーダー上のパーツ数もある下限値を下回らず、瞬時UPMの変動も少なくなります。