基準点とカメラポイント

基準点とは、イメージ画像座標とカメラ座標系, ロボット座標系との関係をキャリブレーションするために使用される重要な点です。カメラポイントは、ターゲットを検出する画像を撮像するポイントです。キャリブレーションは、その座標と基準点を対応させます。基準点とカメラポイントは、ポイントティーチのモードで、ロボットをジョグ動作させてティーチングします。
カメラの設置方法によって、必要な基準点とカメラポイントが異なります。
ロボットを使って指定する基準点には、次の3つのタイプがあります。

  • TaughtPoints (ティーチポイント)
  • EndEffector (エンドエフェクター)
  • UpwardCamera (上向きカメラ)

カメラの設置方法によって、下表のように選択できます。また、ロボットを使わないスタンドアローンカメラキャリブレーションでは、これらの基準点の座標値 (各基準点間の水平, 垂直距離)を、直接数値で入力します。

カメラ設置タイプによって選択可能な基準点のタイプ

カメラ設置タイプ 選択可能な基準点タイプ 基準点ティーチ方法 ターゲット検出方法 必要なビジョンシーケンス
可動カメラ TaughtPoints 1点ティーチ カメラポイント9点ティーチ* ターゲット1個を検出
UpwardCamera 不要 カメラポイント9点ティーチ* ターゲット1個を検出
下向き固定カメラ TaughtPoints 9点ティーチ 1ショット9点検出 ターゲット9個を検出
EndEffector 不要 カメラポイント9点ティーチ* ターゲット1個を検出
上向き固定カメラ EndEffector 不要 カメラポイント9点ティーチ* ターゲット1個を検出
スタンドアローンカメラ - 9点座標指定 1ショット9点検出 ターゲット9個を検出

*カメラポイント自動生成機能が使用できます。 (下記参照)

基準点ティーチ方法
基準点タイプが、“TaughtPoints (ティーチポイント)”に設定されている場合、ツールとターゲットの位置が一致するようにロボットをジョグ動作させ、1点または9点をティーチングします。
可動カメラの基準点の設定方法は、以下を参照してください。

  • 可動カメラ基準点
    下向き固定カメラと、スタンドアローンカメラの基準点の設定方法は、以下を参照してください。
  • 下向き固定カメラ, スタンドアローンカメラ基準点

カメラポイント9点ティーチ
ターゲット検出が、“カメラポイント9点ティーチ”の場合は、9回の撮像でそれぞれ1つ、全部で9つのターゲットの位置を検出します。
キャリブレーション実行時には、カメラ視野内の指定した9つの領域にターゲットを移動させて撮像し、ターゲットを検出します。ポイントティーチのモードにおいては、必要なカメラポイント9点を、画像の中のそれぞれ適切な位置に検出されるように映像を見ながらジョグをしてティーチします。
あらかじめ、対象のカメラで1つのターゲットを検出するビジョンシーケンスを作成しておく必要があります。
シーケンスの作成方法は、以下を参照してください。
キャリブレーション用ビジョンシーケンスの作成

カメラポイント自動生成
ターゲット検出が、“カメラポイント9点ティーチ”の場合は、カメラポイント自動生成の機能が使用できます。9点のカメラポイントをティーチする代わりに、視野中央のカメラポイント1点をティーチするだけで他の8点を自動的に生成できます。

キーポイント


カメラポイント自動生成の機能を使用すると、キャリブレーション実行時には、自動的にロボットを動かしてカメラポイントを生成します。ロボットと周辺装置の干渉に注意してください。またカメラポイント自動生成中のエラーを回避するため、各関節が伸びる特異点近傍姿勢を避けて使用してください。

1ショット9点検出
ターゲット検出が、“1ショット9点検出”のキャリブレーションでは、1回の撮像で9つのターゲットの位置を検出します。
あらかじめ対象のカメラで9つのターゲットを検出するビジョンシーケンスを作成しておく必要があります。
シーケンスの作成方法は、以下を参照してください。
キャリブレーション用ビジョンシーケンスの作成

可動カメラ基準点

このキャリブレーションでは、1個の基準点を必要とします。
基準点には、ロボットをジョグして教示された点(基準点タイプ=ティーチポイント)か、上向き固定カメラで検出された点(基準点タイプ=上向きカメラ)を使用できますが、上向き固定カメラで検出された点の方が精度も高く、自動的に実施できるので、使用できる場合は積極的に使用するようにしてください。
教示された基準点の2つの例を次に示します。

  • ロボット作業領域内にあるパーツまたはキャリブレーションターゲット (1点)
  • ロボットハンドに取りつけられたロッドなどをはめこむことができる作業領域内の穴
    基準点を検出するのに上向き固定カメラを使用する場合には、「可動カメラと上向き固定カメラの両方からのぞき込むことができる穴のある薄いプレート」、キャリブレーションプレートが必要となります。
    キャリブレーションをする間、上向き固定カメラ(キャリブレーション済)は、プレート上の基準点となる穴に位置します。続いて可動カメラについて、9個の位置で、その基準点となる穴を検索することでキャリブレーションが行われます。
    可動カメラのキャリブレーションのための基準点検出に、上向き固定カメラを使用すると精度が高くなるのは、上向き固定カメラのキャリブレーションにおいて、ロボットツールは各カメラ位置について180o回転し、ロボットU軸の中心位置を正確に決定することができるからです。このようにして、キャリブレーションされた上向き固定カメラにより正確に検出される点を基準点として使用し、可動カメラがキャリブレーションされるので、ロボット教示による基準点より精度が一般的に高くなります。


上向き固定カメラを使用した可動カメラのキャリブレーション

記号 内容
a 可動カメラ
b キャリブレーションプレート
c 上向き固定カメラ
d

下向き固定カメラ, スタンドアローンカメラ基準点

基準点タイプが、“TaughtPoints(ティーチポイント)”に設定されている次のキャリブレーションでは、9個のターゲットを備えたキャリブレーションターゲットプレート(シート)が必要です。

  • 下向き固定カメラ
  • スタンドアローンカメラ


下向き固定カメラ, スタンドアローンカメラのキャリブレーションターゲット

下向き固定カメラキャリブレーションでは、ターゲットは、ロボットハンドのロッドなどが滑り込むことができるプレート上の穴などとします。ターゲット間の距離は、正確である必要はありません。基準点が教示されると、キャリブレーションソフトウェアは、ロボット位置を読み取ります。
スタンドアローンカメラキャリブレーションでは、ターゲットは、パターンシートなどとします。ターゲット間の水平距離と垂直距離の情報が必要となります。基準点を教示するとき、キャリブレーションダイアログから、これらの距離の値を入力してください。

TwoRefPointsによる教示

可動カメラキャリブレーションと下向き固定カメラキャリブレーションの基準点を教示するとき、一度基準点を教示すると、任意でその位置から180°回転した位置で再教示するように、メッセージが表示されます。この処理により、システムはロボット座標系における基準点のより正確な位置を決定することができます。しかし、ロボットツールが正確に定義され、キャリブレーションの設定で特定されている場合には、180°回転位置での再教示手順は省略することができます。
180°回転位置での再教示手順を省略する場合は、TwoRefPointsキャリブレーションプロパティーが、“False”に設定されていることを確認してください。
ツール定義方法の詳細は、下記を参照してください。
SPEL+でVision Guide 8.0を使う方法