キャリブレーションGUI

ここでは、キャリブレーションで利用するGUIダイアログについて説明します。

新規キャリブレーションの作成

Vision Guideツールバー - [新規キャリブレーション]ボタンをクリックします。
次の画面が表示され、キャリブレーションウィザードが開始されます。

新規キャリブレーション名を入力します。キャリブレーションするカメラを選択した後、[コピー元キャリブレーション]を指定することで、既存のキャリブレーションをコピーできます。
キャリブレーションウィザードでは、キャリブレーション名の入力後、どの画面でも[完了]ボタンをクリックしてウィザードを終了できます。この場合、「 キャリブレーションプロパティーとリザルト」を参照して、必要なプロパティーの設定をする必要があります。また、[戻る]ボタンをクリックして、これまでに設定した項目の修正ができます。
[次へ]ボタンをクリックすると、次の入力画面に進みます。
名前がすでに別のキャリブレーションに存在する場合は、エラーメッセージが表示されます。
各画面の説明にしたがって、ウィザードを完了してください。設定は、カメラの設置位置や向きによって異なります。各設定の詳細は、「キャリブレーション手順」で説明しています。
ウィザードを完了させると、ウィザードで設定したキャリブレーションがツリーに追加されます。ツリーの中で、キャリブレーションを選択している間は、キャリブレーションのプロパティーとリザルトが画面に表示されます。ウィザードで設定した項目は、このプロパティー画面でいつでも修正できます。

キャリブレーションの削除

Vision Guideツールバー - [キャリブレーション削除]ボタンをクリックします。
次の画面が表示されます。

削除したいキャリブレーションを選択し、[削除]ボタンをクリックします。

キャリブレーションプロパティーとリザルト

キャリブレーションプロパティーには、キャリブレーションウィザードで設定された内容が設定されています。キャリブレーションを作成した後、Vision Guideウィンドウのキャリブレーションウィンドウでキャリブレーションプロパティーを変更できます。

プロパティー 説明
ApproachPoint キャリブレーション実行中、各カメラポイントに移動する起点となるアプローチポイントを設定
AutoCamPoints カメラポイントを自動的に生成
AutoReference 可動カメラのキャリブレーション実行時に、キャリブレーション基準点を自動計算するかを設定
AutoRefFinalRotation 基準点を自動計算するときの、ツールの最終的な回転角度を設定
AutoRefInitRotation 基準点を自動計算するときの、アームやツールの最初の回転角度を設定
AutoRefMode

基準点の自動計算モードをRough, Fine, Manualとして指定

Fineを使用すると、アームをより大きく動かして高精度に基準点を計算します。Manualを使用すると、回転角度や許容量を手動で入力できます。

AutoRefMoveMode 基準点を自動計算するときの、ロボットの動作方法を指定(6軸ロボットのみ)
AutoRefTolerance 基準点を自動計算するときの、ビジョン検出の誤差に対する許容量を設定
Camera 現在選択されているキャリブレーションで使用するカメラを指定
CameraOrientation

カメラの方向を選択

次の7つの選択項目があります。

Mobile J2 (可動カメラ: ロボット第2軸搭載)

カメラは水平多関節型(スカラ)ロボットの第2アーム、直角座標型ロボットの第2軸に搭載されます。

Mobile J4 (可動カメラ:ロボット第4軸搭載)

カメラは水平多関節型(スカラ)ロボットの第4軸、直角座標型ロボットの第4軸に搭載されます。

Mobile J5 (可動カメラ:ロボット第5軸搭載)

カメラは垂直6軸型ロボットの第5アームに搭載されます。

Mobile J6 (可動カメラ:ロボット第6軸搭載)

カメラは垂直6軸型ロボットの第6アームに搭載されます。

Fixed downward (下向き固定カメラ)

カメラは移動せず、ロボット座標系の位置情報を提供します。

Fixed upward (上向き固定カメラ)

カメラは移動せず、ロボット座標系の位置情報を提供します。

Standalone (スタンドアローンカメラ)

カメラは移動せず、ロボット座標系の位置情報は提供しません。カメラ座標系の位置情報を提供します。

DistCorrectCal レンズ歪み、およびカメラチルト補正を実行
DistCorrectEnable レンズ歪み、およびカメラチルト補正の有効/無効を設定
DistCorrectTargetSeq

レンズ歪み、およびカメラチルト補正で使用するビジョンシーケンスを指定

カレントプロジェクトにあるどのシーケンスでも可能です。

DistCorrectType 使用する歪み補正のタイプを設定
Lamp キャリブレーションが開始されると、自動的にオンになる任意のI/O出力ビットです。
LampDelay

ランプが点灯するまでの遅延を秒単位で設定

ランプが点灯するまでの所要時間を遅延として許容します。

LJMMode ポイントデータの姿勢フラグを制御するためのモードを設定
MaxMoveDist アーム先端の移動距離の制限を設定
MotionDelay キャリブレーションのロボット動作の待ち時間をミリ秒単位で設定
PointsTaught 現在選択されているキャリブレーションにポイントを教示
ReferenceType

基準点の選択によって、キャリブレーションで使用される基準点のタイプを指定

可動カメラのキャリブレーションでは、基準点の指定方法が2つあります。教示されたポイントを基準点とする方法と、上向き固定カメラで基準点を指定する方法です。

RobotArm

キャリブレーション中に使用するアーム番号を指定

通常は、“0”に設定します。

RobotAccel キャリブレーション中に適用される加速度を設定
RobotLimZ 可動カメラのキャリブレーションの最初の動作で使用するLimZ値を設定 (スカラロボットのみ)
RobotLocal

現在のキャリブレーションに使用するローカル番号を指定

使用するローカルは、事前に定義しなければなりません。

RobotNumber 現在選択されているキャリブレーションで使用するロボット番号を指定
RobotSpeed

キャリブレーション中に移動するロボットの速度を設定

速度を高速にする場合には、加速度も高い値に設定する必要があります。

RobotTool

キャリブレーション中に使用するツール番号を指定

使用するツール番号は、事前に定義しなければなりません。

RobotXOffset ロボット座標系における検出パーツのX座標位置に対してオフセット値を設定
RobotYOffset ロボット座標系における検出パーツのY座標位置に対してオフセット値を設定
RobotXYRotateOffset XY オフセット値 (RobotXOffset, RobotYOffset)を、Angle リザルトにしたがって回転するか否かを指定
RobotUOffset ロボット座標系における検出パーツのU座標位置に対してオフセット値を設定
ShowConfirmation プログラム実行時にオペレーターの承認を得るためにキャリブレーション結果のダイアログを表示するかを設定
TargetSequence

カメラのキャリブレーションに使用されるビジョンシーケンスを指定

カレントプロジェクトにあるどのシーケンスでも可能です。

TwoRefPoints キャリブレーションで2つの基準点を使用するかを指定
UpwardLamp 上向き固定カメラシーケンスが開始されると、自動的にオンになる任意のI/O出力ビットです。
UpwardSequence

上向き固定カメラのキャリブレーションに使用されるビジョンシーケンスを指定

このリストは、上向き固定カメラを使用して基準点を指定する可動カメラキャリブレーションの実行時にのみアクティブとなります。

リザルト 説明
CalComplete キャリブレーションの終了状態
CalImageSize キャリブレーションを実行したときの画像サイズ
DistCorrectCalComplete レンズ歪み、およびカメラチルト補正が完了しているか否かを返します。
FOVHeight 視野の高さ (単位: mm)
FOVWidth 視野の幅 (単位: mm)
XAvgError カメラ座標X方向の平均偏差
XMaxError カメラ座標X方向の最大偏差
XmmPerPixel カメラ座標X方向の、1ピクセルあたりの長さ (mm)
XTilt カメラ座標X方向の傾き
YAvgError カメラ座標Y方向の平均偏差
YMaxError カメラ座標Y方向の最大偏差
YmmPerPixel カメラ座標Y方向の、1ピクセルあたりの長さ (mm)
YTilt カメラ座標Y方向の傾き

歪み検出

キャリブレーションのプロパティーを操作して、歪み補正のための歪み検出を実行します。歪み検出は、他のビジョンキャリブレーションのポイントティーチを実行する前に行う必要があります。
歪み検出をする手順は以下の通りです。キャリブレーションウィザードの中で歪み補正の設定をした場合は、手順1は省略します。

  1. DistCorrectプロパティーの下にある[Enabled]を “True”に設定し、TargetSeqプロパティーに、正方格子パターンを検出するためのシーケンスを選択します。
    シーケンスの作り方は以下を参照してください。
    キャリブレーション用ビジョンシーケンスの作成
  2. DistCorrectプロパティーの下にあるCalプロパティーを選択し、正方格子パターンの検出を実行します。
    歪み検出をしたキャリブレーションをビジョンシーケンスのCalibrationに設定してシーケンス実行をすると、補正された画像を確認できます。

    レンズ歪み、およびカメラチルトの補正をした後の画像例

ポイントティーチング

Vision Guideウィンドウのシーケンスツリー、またはキャリブレーションツリーで、キャリブレーションのひとつを選択すると、[ポイントティーチング]ボタンが表示されます。
[ポイントティーチング]ボタンをクリックすると、Vision Guideウィンドウが[キャリブレーションポイントのティーチング]モードに変わり、現在選択されているキャリブレーションにポイントを教示することができます。
[キャリブレーションポイントのティーチング]画面は、現在選択されているキャリブレーションスキームに、キャリブレーションポイントを教示するのに使用します。
ティーチするポイントは、キャリブレーションの設定によって異なります。
キャリブレーションの設定により必要なポイントティーチ画面が表示されます。画面の説明にしたがってジョグ動作を行い、ポイントティーチをしてください。


[キャリブレーションポイントのティーチング]ダイアログ

ウィンドウの左側には、画像が表示されています。右端の[ジョグ]タブを選択すると、ジョグのウィンドウが表示されます。
画面の下方には、メッセージを表示するメッセージボックスがあります。メッセージに従って処理をし、メッセージボックスの右側にある[次へ]ボタンをクリックすると、次のステップ実行を継続することができます。
すべてのステップ実行が完了すると、メッセージボックスが表示され、処理が完了したことを示します。
表示されるメッセージは、ポイントを教示するキャリブレーションのタイプによって異なります。

表示メッセージ 説明
固定基準位置へジョグ

可動カメラキャリブレーションを行うとき、教示されたポイントを基準点として使う場合に表示

(基準点を上向き固定カメラで自動的に検索する場合は表示されません。)

ハンド(ロッドなど)がキャリブレーションターゲット位置に来るまで、ロボットをジョグしてください。

180°回転して固定基準位置へジョグ オプションの処理手順この機能を有効にするには、ポイントのティーチング前にTwoRefPointsをTrueに設定します。ロボットツールが正確に定義されている場合には、TwoRefPointsをFalseのままにします。キャリブレーションツールを使わない場合には、TwoRefPointsをTrueに設定します。ロボットを現在の位置から180o回転して、ハンド(ロッドなど)がキャリブレーションターゲット位置に来るようにジョグしてください。
左上カメラ位置へジョグ キャリブレーションターゲットが、画像イメージ表示部の左上コーナーに表示されるまで、ロボットをジョグしてください。
中央上カメラ位置へジョグ キャリブレーションターゲットが、画像イメージ表示部の中央上に表示されるまで、ロボットをジョグしてください。
右上カメラ位置へジョグ キャリブレーションターゲットが、画像イメージ表示部の右上コーナーに表示されるまで、ロボットをジョグしてください。
中央右カメラ位置へジョグ キャリブレーションターゲットが、画像イメージ表示部の中央右に表示されるまで、ロボットをジョグしてください。
中央カメラ位置へジョグ キャリブレーションターゲットが、画像イメージ表示部の中央に表示されるまで、ロボットをジョグしてください。
中央左カメラ位置へジョグ キャリブレーションターゲットが、画像イメージ表示部の中央左に表示されるまで、ロボットをジョグしてください。
左下カメラ位置へジョグ キャリブレーションターゲットが、画像イメージ表示部の左下コーナーに表示されるまで、ロボットをジョグしてください。
中央下カメラ位置へジョグ キャリブレーションターゲットが、画像イメージ表示部の中央下に表示されるまで、ロボットをジョグしてください。
右下カメラ位置へジョグ キャリブレーションターゲットが、画像イメージ表示部の右下コーナーに表示されるまで、ロボットをジョグしてください。

キャリブレーションボタン

シーケンス、またはキャリブレーションツリーでキャリブレーションの1つを選択すると、[キャリブレーション実行]ボタンが表示されます。[キャリブレーション実行]ボタンをクリックして、キャリブレーションを開始します。ロボットが動作する場合は、ロボット動作開始前に確認メッセージが表示されます。

[キャリブレーションの完了]ダイアログ

キャリブレーションサイクルが完了すると、次のダイアログが表示されます。
このダイアログでは、今回のキャリブレーションと前回のキャリブレーションで得られたキャリブレーションの値の概要を表示します。
今回が初めてのキャリブレーションの場合は、前回のキャリブレーションの値は空白で表示されます。


キャリブレーションサイクルが完了した後で表示される、キャリブレーション結果を示すダイアログ

次の表は、[キャリブレーションの完了]ダイアログに表示される値です。
結果を確認した後で、新規キャリブレーション値を使用する場合には、[OK]ボタンをクリックしてください。また、中断する場合には、[キャンセル]ボタンをクリックしてください。

ヒント: 偏差の値が1 mm以上の場合や、傾きの値が1以上の場合はキャリブレーションが正常に完了していないことが考えられます。キャリブレーション時にキャリブレーションポイントの検出が正常に行われているか、ロボットのキャリブレーションポイントや基準点がずれていないかを確認してください。起動時にこのダイアログを無効にするには、ShowConfirmationプロパティーを “False”に設定します。

Note: テレセントリックレンズを使用している場合は、傾きに異常値が表示されることがあります。

説明
1ピクセルあたりのX方向長さ、Y方向長さ(mm) カメラの解像度 (1ピクセルあたりの幅と高さの平均)

最大X方向偏差

最大Y方向偏差

キャリブレーションする途中で生じる最大偏差

これらの最大偏差の値は、1ピクセルあたり1mm以下の値でなければなりません。最大偏差の値が1mm以下でない場合、その原因として、基準点が適切に教示されていないこと、あるいは、不適切な教示や不適切な光条件により、キャリブレーションターゲットの置き方に一貫性がないことが考えられます。

平均X方向偏差平均Y方向偏差 キャリブレーションする途中で生じる平均偏差
X傾き、Y傾き

カメラの傾きを相対的に表す

傾き方向は、画像イメージバッファー座標系中のカメラが捉えた方向です。つまり、X傾きでは、プラスの値は右方への傾きを示し、マイナスの値は左方への傾きを示します。Y傾きでは、プラスの値は下方への傾きを示し、マイナスの値は上方への傾きを示します。

Vision Guide 8.0には、カメラの傾きを補償する機能がありますが、傾きの値は1.0以下に保つようにしてください。傾きの値を1.0以下に保つことにより、パーツをより正確に、かつ反復的に検出することができます。

傾きの値が高い場合には、しばしば基準点が適切に教示されていないことが原因になっています。たとえば、スタンドアローンカメラのキャリブレーションを行うとき、キャリブレーションターゲット座標を入力しますが、ここで不正確なターゲット座標値を入力すると、傾きの値が高くなってしまいます。

視野の大きさ カメラ視野の幅と高さ (単位: ミリメートル)