Arch

Jump, Jump3, Jump3CP命令でのアーチパラメーターの設定と表示をします。

書式
(1) Arch アーチ番号, 退避距離, 接近距離
(2) Arch アーチ番号
(3) Arch

パラメーター

アーチ番号
アーチ番号を0~6の整数で指定します。有効値は0~6の整数で、次ページのArchテーブルのように有効な値は全部で7つあります。
退避距離
Jump命令で水平動作前の退避距離 (出発点からの垂直距離)を指定します。(単位: mm)Jump3, Jump3CP命令で、スパン動作前の退避距離を指定します。(単位: mm)
接近距離
Jump命令で水平移動が完全に終了した段階での、接近距離 (目的点からの垂直距離)を指定します。(単位: mm)
Jump3, Jump3CP命令で、スパン動作が完全に終了した段階での、接近距離を指定します。(単位: mm)

結果
すべてのパラメーターを省略すると、Archテーブルの内容すべてが表示されます。

アーチ番号だけを指定すると、指定アーチ番号のArchテーブル内容が表示されます。

解説
Arch命令で、Jump動作命令で必要なArchテーブルの値を定義します。Arch動作は、Jumpの修飾語である、アーチ番号に対応したパラメーターで実行されます。 (Arch命令を理解するためには、まずJumpステートメントをよくお読みください。)

Archの設定により、Jump C[アーチ番号]を使うとZ方向の角を丸めることができます。 (使用例を参照) Archテーブルでは、水平方向移動を始める前の垂直方向の移動距離 (退避距離)と、水平方向移動が終了した後の、目標座標までの垂直方向の移動距離(接近距離)を設定します。 (下図を参照してください。)

記号 説明
a 退避距離
b 接近距離

ユーザー定義のArchテーブルの値は、0~6までの整数で、全部で7つあります。8番目の設定値 (Arch 7)は、デフォルト値で、実際にはアーチモーションではなく、ゲートモーション (次図参照)が設定されています。デフォルトArch値 (8番目の設定値)を使ってJump命令を実行すると、アームは次図のように動作します。

  1. まず、第3関節だけが、LimZコマンドによって設定されたZ座標値 (最大Z値)まで、移動します。
  2. 次に、目標座標までアームが水平移動し、最終的なX, Y, U位置まで行きます。
  3. 最後に第3関節だけが動き、アームを最終的な第3関節座標位置 (Z座標値)まで下降させ、Jump命令動作が完了します。

ゲートモーション (Arch 7 のJump動作)

Arch テーブル デフォルト値

Arch番号 退避距離 接近距離
0 30 30
1 40 40
2 50 50
3 60 60
4 70 70
5 80 80
6 90 90

注意


  • ゲートモーションになるその他の場合

    実際の垂直移動距離より大きい値が、垂直上昇距離, 垂直下降距離に設定されると、アーチモーションにはならず、ゲートモーションになります。

  • Arch 値は保存されます

    Archテーブルの値は、ユーザーが変更しない限り、保持されます。


アーチ使用時の重要事項
アーチモーションは、動作の合成を軌跡制御上で行うため、実際の軌跡を保証できるものではありません。動作速度やアームの動き方によってその軌跡は変化します。実際の軌跡は、作業で使用する実速度と姿勢で確認してください。

  • 同じ位置で、同じC[アーチ番号]を持つJump命令 (またはJump3命令)を実行しても、高速動作時と比較して低速時の軌跡は低くなります。したがって、高速で障害物に衝突しないことを確認しても、低速で動作すると衝突する可能性がありますので注意してください。
  • 低速動作時より高速動作の方が、合成なしの退避移動量が増え、合成なしの接近移動量が減る傾向にあります。期待した移動距離が出ない場合は、速度や減速度を下げるか、接近距離を長めに設定してください。
  • 同じ距離の動作であっても、アームの動き方によって軌跡は変化します。アームの動き方による軌跡の変化はさまざまですが、一般的な水平多関節型ロボットを例にとれば、第1アームを大きく動かすほど垂直上昇量が増え、垂直下降量が減る傾向が強くなります。期待した垂直下降距離が出ない場合は、速度や減速度を下げるか、下降距離を長めに設定してください。

参照
ArchClr, Jump, Jump3, Jump3CP

Arch使用例
下記は、コマンドウィンドウから行うArch値の設定例です。

> arch 0, 15, 15
> arch 1, 25, 50
> jump p1 c1
> arch
  arch0 =    15.000        15.000
  arch1 =    25.000        50.000
  arch2 =    50.000        50.000
  arch3 =    60.000        60.000
  arch4 =    70.000        70.000
  arch5 =    80.000        80.000
  arch6 =    90.000        90.000
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