AvoidSingularity
特異姿勢通過機能を設定します。
書式
AvoidSingularity { mode }
パラメーター
- mode
- 使用する特異点通過モードを表す整数式
定数 値 モード SING_NONE 0 特異姿勢通過機能を無効にします。 SING_THRU 1 特異姿勢通過機能を有効にします。 SING_THRUROT 2 ROT修飾詞つきのCP動作で特異姿勢通過機能を有効にします。 SING_VSD 3 可変速度CP動作機能を有効にします。 SING_AUTO 4 特異姿勢通過機能あるいは可変速度CP動作機能を自動選択します。 SING_AVOID 5 肘特異姿勢通過機能を有効にします。
解説
AvoidSingularityは下記の命令で有効です。
Move, Arc, Arc3, Jump3, Jump3CP, JumpTLZ
特異姿勢通過機能は、垂直6軸型ロボット (Nシリーズを含む)、およびRSシリーズロボットがCP動作実行中に特異姿勢に近づいたとき、加速度エラーを回避するために、速度は維持したまま、本来の軌跡とは異なる軌跡を通過し、特異姿勢から離れた後、通常の軌跡に戻すことができます。コントローラー起動時 特異姿勢回避機能は"1: 有効"となっていますので、通常は変更する必要はありませんが、特異姿勢通過機能に対応していないソフトウェアとの互換性確保や特異姿勢回避動作による軌跡のずれを嫌う場合など、特異姿勢回避をさせたくない場合に無効にしてください。
可変速度CP動作機能は、垂直6軸型ロボット (Nシリーズを含む)、およびRSシリーズロボットがCP動作実行中に特異姿勢に近づいたとき、加速度エラーや過速度エラーを回避するために、軌跡は維持したまま、速度を自動的に抑制し、特異姿勢から離れた後、通常の速度指令に戻すことができます。軌跡を維持して特異点近傍を通過するため、第1, 第2, 第4, 第6関節が大きく動作することがあります。
AvoidSingularityの設定値を変更した場合、次回コントローラー起動時まで有効です。
コントローラー起動時は、AvoidSingularityは コントローラー設定で指定した設定状態 (工場出荷時: 1)になります。また、AvoidSingularityの設定値を変更した場合、SingularityAngle, SingularitySpeed, SingularityDistの各パラメーターはデフォルト値に戻ります。 SING_AUTOは、SING_THRUとSING_VSDを合わせたモードです。動作または速度によってSING_THRUかSING_VSDが選択されます。
AvoidSingularityを使用しても加速度エラーや過速度エラーが発生する場合は、AccelS, DecelS, SpeedS を小さくしてください。
注意
垂直6軸型ロボットとNシリーズロボットの特異姿勢近傍の条件設定
ロボットが手首特異姿勢近傍に近づいたかどうかを判断するため、第5関節の角度および第4関節の角速度を用いています。デフォルトでは第5関節角度は±10度、第4関節角度は最大関節速度の±10%に設定されています。これらを変更する場合、SingularityAngleおよびSingularitySpeedコマンドを使用します。また、腕特異姿勢に近づいたかどうかを判断するため、P点の座標を用います。デフォルトでは、P点とロボットの第1関節の回転軸の距離が30 mmに設定されています。これを変更する場合、SingularityDist コマンドを使用します。
RSシリーズロボットの特異姿勢近傍の条件設定
ロボットが腕特異姿勢に近づいたかどうかを判断するため、デフォルトツール0座標系原点の座標を用います。デフォルトでは、ツール0座標系の原点とロボットの第1関節の回転軸の距離が30 mmに設定されています。これを変更する場合、SingularityDistコマンドを使用します。
Nシリーズロボットの注意事項
N2シリーズは他の機種と異なり、コントローラー起動時の特異姿勢回避機能は"3: 可変速度CP動作機能を有効"に設定されています。
N6シリーズは他の機種と同じく、コントローラー起動時の特異姿勢回避機能は"1: 特異姿勢通過機能を有効"に設定されています。
Nシリーズは、手首特異点姿勢と腕特異点姿勢の他に、肘特異姿勢領域を持ちます。肘特異姿勢領域は、第3関節が0度のとき (第3関節と第2関節が重なったとき)の姿勢です。
肘特異姿勢領域の通過動作についての詳細は、以下のマニュアルを参照してください。
"Epson RC+ ユーザーズガイド"SING_THRUとSING_AVOIDの違い
SING_THRUは、手首特異姿勢と肩特異姿勢を通過しますが、肘特異姿勢は通過しません。肘特異姿勢を通過させる場合、SING_AVOIDを選択してください。ただし、肘特異姿勢通過は、他の特異姿勢通過に比べ大きく軌道が変わるため、注意して使用してください。また、Nシリーズ以外でSING_AVOIDを選択した場合、エラー4002が発生します。
参照
AvoidSingularity関数, SingualrityAngle, SingularitySpeed, SingularityDist
AvoidSingularity使用例
AvoidSingularity SING_NONE '特異姿勢回避を無効にして動作させる
Move P1
Move P2
AvoidSingularity SING_THRU