Calib
現在のアーム姿勢のパルス値を、CalPlsにより設定されているパルス値に置き換えます。
書式
Calib 関節番号1 [, 関節番号2] [, 関節番号3] [, 関節番号4] [, 関節番号5] [, 関節番号6] [, 関節番号7] [, 関節番号8] [, 関節番号9]
パラメーター
- 関節番号
- キャリブレーションを行う関節番号 (1~9の整数)を直接数値で指定します。通常は、キャリブレーションは1関節ずつ行いますが、このコマンドでは、9関節までのキャリブレーションを同時に行うことができます。付加軸のS軸は8、T軸は9になります。
解説
自動的にオフセット (Hofs)値を演算して設定します。このオフセットは、各関節モーターの原点を対応するロボットのメカ原点に合わせるために必要です。
Calibは、モーターのパルス値が変わったときに使われるコマンドです。一般的な用法としては、モーターを交換した後の作業として使われます。通常、キャリブレーション位置パルス値は、CalPlsパルス値と同じになるはずですが、モーターの交換などのメンテナンス作業の後では、この2つの値は一致しません。そのためキャリブレーションが必要になります。
キャリブレーションする位置までアームを移動させてから、Calibコマンドを実行します。Calibを実行すると、キャリブレーション位置パルス値がCalPlsパルス値 (キャリブレーション位置に対する正しいパルス値)に変更されます。
正確にキャリブレーションを行うためには、Hofs値が設定されなければいけません。キャリブレーションを行う位置までアームを移動させてから、Calibを実行すると、自動的にHofs値が演算されます。コントローラーは、キャリブレーションパルス値とCalPlsパルス値に基づいて自動的にHofs値を演算します。
注意
Calibコマンドの使用には注意が必要です
Calibはメンテナンス作業だけの目的に設計されています。必要なとき以外は使わないでください。
Calibを実行するとHofs値が置き換えられます。Hofs値が知らない間に変更されていると、ロボットが思わぬ動きをすることになりますので、Calibは必要なとき以外は絶対に使わないでください。
関節精度補正の対応機種では、Calibを実行すると、指定した軸についてJointAccuracyで設定した補正値が"0"になります。
本コマンド実行後は、安全機能マネージャーを起動してください (Safety基板を搭載したコントローラーのみ)
Safety基板を搭載したコントローラーでは、コントローラーのHofs値と安全機能を実現するSafety基板のHofs値が一致する必要があります。
本コマンドを実行すると、コントローラーのHofs値のみが変更され、Safety基板設定と差異が生じるため、ワーニングが発生します。
このため、本コマンド実行後は、Safety基板設定を更新するために、安全機能マネージャーを起動してください。
詳細は、以下のマニュアルを参照してください。
"ロボットコントローラー 安全機能マニュアル"
起こりやすいエラー
関節番号が指定されていないとエラーになります
Calibコマンドを使うとき、関節番号が指定されていないと、エラーになります。
参照
CalPls, JointAccuracy, HofsJointAccuracy, Hofs
Calib使用例
コマンドウィンドウからの操作
> CalPls '現在のCalPls値を表示
65523, 43320, -1550, 21351
> Pulse '現在のPulse値を表示
PULSE: 1: 65526 pls 2: 49358 pls 3: 1542 pls 4: 21299 pls
> Calib 2 '第2関節のみキャリブレーションを実行
> Pulse '変更されたPulse値を表示
PULSE: 1: 65526 pls 2: 43320 pls 3: 1542 pls 4: 21299 pls
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