Nシリーズのアーム姿勢

Nシリーズは、各関節の動作許容エリアの範囲内で、様々なアーム姿勢で動作させることができます。その一例を次の図に示します。

また、Nシリーズは、オフセット "あり" と "なし"で姿勢の考え方が異なります。

オフセットとはJ2軸とJ1軸の距離です。

下図に、オフセット "あり" と "なし" の 姿勢の例を記載します。

  • オフセットあり: J2軸とJ1軸の距離が0mmではない

  • オフセットなし: J2軸とJ1軸の距離が0mm

オフセットなし (イラスト: N2-A450SR)

アーム姿勢
右腕 左腕
上肘姿勢
下肘姿勢

オフセットあり (イラスト: N6-A1000S)

アーム姿勢
右腕 左腕
上肘姿勢
下肘姿勢

Nシリーズのアーム姿勢を指定する場合は、スラッシュ (/)とその後ろに以下を記述してください。

  • L (左ハンド姿勢)、またはR (右ハンド姿勢)
  • A (上肘姿勢)、またはB (下肘姿勢)
  • NF (手首非反転姿勢)、またはF (手首反転姿勢)

アーム姿勢は、次の8通りの組み合わせが可能ですが、ポイントによってはすべての組み合わせが動作可能とは限りません。

アーム姿勢の組み合わせ

  • 1: /R /A /NF
  • 2: /L /A /NF
  • 3: /R /B /NF
  • 4: /L /B /NF
  • 5: /R /A /F
  • 6: /L /A /F
  • 7: /R /B /F
  • 8: /L /B /F

さらに、その一部の動作エリア内のポイントにおいて、第4関節や第6関節を360度回転しても同じ位置姿勢を実現することができます。このようなポイントを区別するためのポイント属性として、J4FlagとJ6Flagがあります。

J4Flagを指定する場合は、スラッシュ (/)とその後ろに以下を記述してください。

  • J4F0 (-180 < J4関節角度 <= 180)
  • またはJ4F1 (J4関節角度 <= -180 または 180 < J4関節角度)

J6Flagを指定する場合は、スラッシュ(/)とその後ろに以下を記述してください。

  • J6F0 (-180 <J6 関節角度 <= 180)
  • またはJ6F1 (-360 < J6関節角度 <= -180 または 180 < J6関節角度 <= 360)
  • またはJ6Fn (-180*(n+1) < J6関節角度 <= -180*n または 180*n < J6関節角度 <= 180*(n+1))

特異姿勢

アーム姿勢が切り替わる境界での姿勢を特異姿勢と呼びます。

  • 腕特異姿勢: 右ハンド姿勢と左ハンド姿勢が切り替わる境界

  • 肘特異姿勢: 上肘姿勢と下肘姿勢が切り替わる境界

  • 手首特異姿勢: 手首非反転姿勢と手首反転姿勢が切り替わる境界

Nシリーズでは、垂直多関節型ロボットと同様に、動作範囲の内部にも腕特異姿勢や手首特異姿勢が存在します。特異姿勢の近傍でのロボットの動作は、垂直多関節型ロボットと同様の注意が必要です。

共通の注意点については、以下を参照してください。

垂直多関節型ロボットのアーム姿勢

垂直多関節型ロボットに無い肘特異姿勢領域について、以下に記載します。

肘特異姿勢領域

Nシリーズは、下図の球面にP点が接した姿勢が肘特異姿勢となります。また、P点は球の内側に入ることはできません。したがって、球の内部を通過する動作を行うことはできません。

肘特異姿勢領域通過動作

下図のように始点と終点が球を通過する動作を実行した場合、特通点通過機能(AvoidSingularity)のモードによってロボットの動作は異なります。動作は以下のようになります。

モード: SING_AVOID

下図の赤線 (P点の軌跡)のように、肘特異姿勢領域を避けて終点まで移動します。肘特異姿勢領域を避けている区間の動作はPTP動作になります。また、以下を行った場合、エラーが発生します。

  • SpeedSの設定が大き過ぎる場合、エラー4242, 4243, 4255, 5044が発生します。SpeedSの値を下げることで、エラーを回避できます。
  • 特異姿勢通過動作 (PTP動作)を行っているときに、停止や一時停止の実行、および安全扉を開いた場合、エラー4242, 4250, 4252, 4256が発生します。特異姿勢通過動作時には、これらを行わないでください。
  • Nシリーズで特通点通過機能のモード (SING_AVOID)を選択した場合、エラー4255, 4256が発生します。

モード: SING_AVOID以外

下図の青線 (P点の軌跡)のように、肘特異姿勢領域に接した位置でエラー4252などが発生します。

肘特異姿勢領域(フランジ面)は、J5軸が0°の場合の領域です。

記号 説明
a 始点
b 終点
c 肘特異姿勢領域(フランジ面)
d 肘特異姿勢領域(P点)

注意:

  • 通過動作はシミュレーターのサンプルプログラム "N2_sample"で確認することができます。

  • Jump3, Jump3CP, JumpTLZでは、肘特異姿勢領域を通過する動作を行うことはできません。 (肩, 手首特異姿勢を通過することは可能です。)

  • 特異姿勢通過動作は、第4関節や第6関節が大きく回転する場合があります。

  • 特異姿勢通過動作は、往復動作での経路が異なる場合があります。

  • 肘特異姿勢領域や肘特異姿勢近傍領域をシミュレーター上に表示する場合、ロボットのShow Singularity Areaプロパティーを"True"に設定してください。Show Singularity Areaプロパティーは、Nシリーズのみ表示されます。